ケータイ横長文化を生む
「シャープはザウルスの経験もありますし、NTTパーソナル時代のPHSにタッチパネル端末を導入したこともありました。しかし現在の文字入力を多用するケータイの用途では、やはりテンキーは必須。インターフェースの変革にも取り組まなければならない。タッチクルーザーの次は、タッチパネルとなりました」(木戸氏)
タッチパネルを導入するといっても、そう簡単な話ではない。まずシャープはAQUOSブランドに象徴されるように、液晶の美しさに定評がある。せっかく高品位なモバイルASV液晶を採用しても、PRADA phoneのような感圧式を採用した場合、どうしてもスクリーンに色が付いてしまい、画質を落としてしまう。そこでiPhoneと同じ、静電気に反応する静電式を採用することになった。
「静電式を採用すると、やはり爪の長い女性ユーザーが使いにくい、という問題が出てきます。そのため、今まで通りの片手、縦長の画角ではなく、液晶を露出させて折りたたみ、横長の画角で使う時に限って、タッチパネルを活用してもらうようにデザインしました」(木戸氏)
SH906iのタッチパネルは、カメラ、フォトビューアー、ワンセグ、フルブラウザなど、横長の画角での利用がふさわしい作業のみ使用できる。唯一縦長の画角でタッチパネルが動作するのは、端末のロックを解除するための手書き認証に限られている。ここまで徹底的にタッチパネルの用途を絞った背景には、ユーザーにとってベストなインターフェースを用意することで、使いにくさを感じさせないように工夫したからである。
「ワンハンドで使えることにこだわってケータイの開発をしていますが、横長に構えて両手で使う提案という位置付けを新たに作りました。今までのサイドボタンの操作では使いにくかった点も改善しています。iPhoneの反応の良さには目を見張りますが、我々も視覚、触覚、聴覚を自然に連携させる直感的な動作を追求していきます」(木戸氏)
縦長文化のケータイに対して、横長文化を提案する。タッチパネルの導入は日常的なケータイの使い勝手の新たな局面を追加するという、大きな目標があることがよく分かった。では、ケータイにおける横長文化とはいったいどんなモノなのだろうか?
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