いったい何が始まったのか! 8月29日、日本ヒューレット・パッカードがサーバー製品の価格を改定し、4ソケット、つまり4基のCPUを搭載できるブレードサーバー「HP ProLiant BL680c、BL685c」とラックマウント型の「DL580 G5、DL585 G5」を最大29%引き下げたのだ。その理由を日本HPに聞いててみた。
話を聞いたのは日本ヒューレット・パッカード エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 ビジネスデベロップメント部 部長の正田(まさだ)三四郎氏。正田氏は「値下げの理由について語る前に、まず国内で4CPUサーバーがおかれている状況について知っていただきたいと思います」と切り出した。なお、4CPUサーバーというのは4ソケットを持つサーバーの俗称だ。「4ソケットサーバー」といったほうが好ましいそうだが、4つのCPUが載るというわかりやすさから4CPUサーバーと呼ばれることも多い(ほかに、4wayサーバーと呼ばれることもある)。ここでは以下、4CPUサーバーとする。
正田氏によると、日本HPで販売している製品のうち4CPUサーバーが占めている割合が、海外に比べて低いのだそうだ。しかも年々減少中。理由を探ると、どうやら日本のユーザーが4CPUサーバーに抱いているイメージが大きく影響していることがわかったという。
4CPUサーバーには、4つのCPUを搭載できる。すっかり一般化したデュアルコアやクアッドコアのCPUを積めば、4倍の8ないし16のコアを持つマシンとなる。かなりハイエンドな印象を受ける人も多いはずだ。アンケートをとると案の定「クアッドコアCPUがあるから2CPUサーバーで十分」「必要なのってDBサーバーくらいでしょ?」「メモリがたくさん載るんでしょ? でも要らないなぁ」「高いんだよね? 4CPUなんていうと何百万円もするイメージがある」「性能劣化するから2CPUサーバーを2台買ったほうがいい」「2台のほうが、性能がいいイメージがある」といった答えが返ってきたそうだ。
そこで日本HPが着目したのは、「性能劣化するから2CPUサーバーを2台買ったほうがいい」「2台のほうが、性能がいいイメージがある」というイメージだ。実際に、本当にそうなのか検証してみたところ、4CPUサーバーのほうが2CPUサーバー2台よりもいいパフォーマンスを示すことが実証できたという。
実験には、4CPUサーバーとして、クアッドコアXeon 7300番台を4基(合計16コア)搭載する「HP ProLiant DL580 G5」1台と、2CPUサーバーとして、クアッドコアXeon 5400番台を2基(計8コア)搭載する「HP ProLiant DL380 G5」2台が用意された。CPUの数とメモリー搭載量をそろえて「VMware ESX Server 3.0」上に、1システムあたり4~8台の仮想サーバーを構築し、WebサーバーとDBサーバーの2階層を構成したという。DL380×2台は、企業内で活用される複数のWebアプリケーションを2CPUサーバーで統合するケースを想定。物理サーバーによる一般的な構成と同様にWebとデータベースで物理サーバーを分けている。一方、4CPUサーバーDL580の構成は1台の物理サーバー上に仮想サーバーを立てている。
4CPUサーバーが勝った理屈は、簡単に言うと「待ち行列理論」で説明できるという。
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