スクロール機能が便利なタッチパッド
ウェブの見やすさに一役買っているのがタッチパッドの「バーチャルスクロール」という機能だ。これは「Synaptics TouchPad」という標準搭載のドライバソフトで実現しているもので、タッチパッドの右端や下端をなぞったぶんだけ上下左右にスクロールできる、なにげに便利な小技だ。
「Synaptics TouchPad」そのものは汎用的な組み込みソフトだが、バーチャルスクロールという機能があることを覚えておけば、ウェブ閲覧時以外にもいろいろな場面で役に立つ。
M912Xはタッチパネルにも対応しており、画面にタッチしてもスクロール可能だが、手元で操作できるバーチャルスクロールの方が実際に使ってみると断然便利だ。
キー配列と放熱には難あり
ただし、M912Xの購入を検討中の人は、一般的なNetBookよりひと回り大きいということを覚悟しなければならない。ACアダプターなどの付属品を含めた重さは約1.5kgを超え、厚みも最大4cm以上ある。持ち歩けないことはないが、コンパクトさを何より重視する人には正直オススメできない。
文字入力のしやすさに期待しているとすれば、右側にShiftキーがない点と、横長のEnterキーが押しにくい点がマイナスポイントになる。キーそのものはクリック感があって押しやすいだけに、変則的なキー配列が悔まれる。
もっとも気になったのがキーボード面の放熱だ。特に「J」キーから右半分がかなり熱くなる。実際に計測してみたところ、左半分が約35度であったのに対し、右半分は常時約40度と高温だった。底面や側面は放熱用の切り込みが大きく、熱のこもりはさほど気にならないが、タッチパッドやパームレストもキーボード面と同様に熱くなる。長文入力用途をメインに考えている人はこのあたりにも気を付けよう。
快適にネットしたい人にオススメ
M912Xは「NetBookとしては」文句なくアリだ。コンバーチブルスタイルの低価格Atomノートは今のところこのM912Xだけ、という存在価値も高い。ただしかなりかさばるので、出張や外回りに持ち歩くというよりはむしろ、家庭や職場内での短距離モバイル向きだろう。コンバーチブルスタイルにこだわりのある人や、前述の難点を差し引いてでも、とにかくウェブを快適に閲覧できるマシンが欲しいと思っている人にオススメだ。