割引キャンペーンよりもパートナーと共同で広めていく
ブレードサーバーはエンクロージャーとブレードを別々に購入する必要があるが、機能を凝縮したブレード側よりも、エンクロージャー側の方がメーカーの工夫の余地がある。たとえばSIGMABLADEの場合、全モデルに「EXPRESSSCOPEエンジン」というチップを搭載している。
EXPRESSSCOPEエンジンは管理機能を担うチップで、管理者はサーバーの近くにいなくてもネットワーク経由で状態を確認したり、操作したりできる。ブレードとは独立しているため、電源オフやOSがクラッシュした状態でも機能する。操作するのに必要なソフトウェアは一般的なWebブラウザーだけで、特殊なプログラムを必要としないのも特徴だ。
また、エンクロージャーにギガビットEthernetやファイバーチャネルのスイッチモジュールを搭載すると、サーバー間やストレージの接続にケーブルを使わずに済むため、システム全体のケーブル本数を大幅に減らせるのも特徴だ。もちろん既設の外部スイッチを利用するために、単にインターフェイスをまとめただけのモジュール(スルーカード)も搭載できる。導入先の条件に合わせて柔軟に構成を変更できるわけだが、スルーカードを使うとケーブル本数は減らせない。
中堅企業にとって、サーバーやストレージに加え、エンクロージャーまで買う必要があるブレードサーバーは、初回導入時の障壁が高い製品に映る。各社もこの点は承知しており、エンクロージャーの価格を大きく割引するようなキャンペーンを実施しているベンダーもある。しかし、NECはそれほど大々的にはキャンペーンをしていない。
その理由を本永氏は、「一般的に全社的なサーバー統合を検討する場合、予算は1000万円単位になるのが普通であり、その中ではたとえエンクロージャーの価格をゼロ円にしたところで影響は小さいから」と説明する(小型のエンクロージャーであるSIGMABLADE-Mの標準価格は26万円)。
NECにとっては、エンドユーザーに加えて、販売パートナー企業も顧客である。パートナー各社にはそれぞれの販売戦略があるため、NECの方針で特定の製品だけ大幅に安く売るようには強制できないのだろう。タワー型、ラック型に続く第3の形態であるブレードサーバーは、新たな需要を生み出す重要なきっかけとなりうる。このタイミングで必要な施策は、単に価格を下げることよりも、パートナー企業を通じてエンドユーザーへの啓蒙活動である、というのがNECの方針のようだ。
また、NECはブレードサーバーをハードウェアとして単に売るのではなく、他の製品と組み合わせて、ソリューションとしても販売している。たとえば、シンクライアントシステムのサーバーとしてブレードサーバーを用いるなど、他製品と組み合わせて提案できるのが、IT総合企業であるNECの強みというわけだ。