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TechCrunch50でネットベンチャーのこれからを見る(2日目)

日本発のWebサービス、米国で大ウケ

2008年09月11日 10時38分更新

文● ALT Interactive

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午後の審査員

午後の審査員。Om Malik(新興の人気ブログメディア、Giga Omni Mediaの創設者)、Tim O`Reilly(言わずと知れた「Web2.0」の生みの親)、John Kopelman(First Round Capitalマネージメントパートナー)、Evan Williams(Twitterを運営するObviousの共同設立者)。

Session7:「Mobile」
北米でも携帯コンテンツ消費の本格化は近い?

Tonchidotのデモ

日本から参加のセカイカメラ。会場は大いに盛り上がった。

 スマートフォンの浸透で、北米でも携帯電話でリッチコンテンツを楽しむ習慣が定着しつつある。一方で、多様なプラットフォームが存在していてユーザー・メーカーともその対応が面倒なのは日本と同様の状況である。「Mytopia」はマルチプレイヤーゲームをPCを始め、ほとんどすべての現行携帯プラットフォームでも動作可能にする開発環境である。

 Tonchidotは日本から2番目のプレゼンテーター。iPhoneのカメラから読み取る画像にリアルタイムでGPSから取得したタグを表示させるサービスなのだが、プレゼンテーターがすばらしく会場は爆笑と喝采の渦に巻き込まれた。オライリーも「Wonderful Concept!」と絶賛(もちろん、どうやって実現させるのか? と突っ込むことも忘れなかったが)。TechCrunch50初のスタンディングオベーションまで生まれた。

 MobclixはiPhoneのアプリ制作をサポートするサービス。iPhone上のアプリケーションで企業広告展開というマネタイズ手法も考慮されている。FitBitは、歩数や血圧などを計測できる携帯型のデバイスとPCを連携したサービス。ナイキがランニングシューズにセンサーを装着した「Nike+」と呼ばれるプロダクツをリリースしているが、Nike+がランニング用途に限定される一方、もう少し幅広いターゲットを狙えそうである。


Session 8:「Language &Platform Tools」
バベルの塔をマネタイズ

ティム・オライリー

「誰がお金を払うのか?(Who pays?)」を繰り返し問いかけていたオライリー。

 インターネット時代はいよいよ英語が標準語になると言われて久しい。しかし、実際には殆どのコンテンツがそれぞれの国の言語で記述されているという現実がある。そこに目をつけたのが半自動学習型翻訳WebサービスがAlfabetic。

 POSTBOXは、メールの検索性を向上するだけでなく、Webの向こう側とメールの各要素をシームレスに行き来することができるアプリケーション。ローカルにデータをためていく現在のメールの仕組みは、今の時代にあっていないと指摘される現状を、うまく踏まえたサービスだと言えそうだ。

 携帯端末での入力を劇的に効率化しそうなのはSwype。画面上の一連のキーを一筆書きでなぞっていくことで入力を行う。DropboxはMicrosoft「FolderShare」やApple「Mobile Me」と似ている、オンライン上のストレージ共有サービス。だが、Webに詳細な履歴が残ったり、他の利用者と作業を行うためのバージョン管理までサポートされているのが特徴的だ。Webアプリ開発環境のDevunityは、100%Webベースで主要サイトのAPIライブラリも備えており、マッシュアップの際の共同作業を効率化できそうだ


OpenTraceで喝采を浴びた2人の日本人に話を聞く

 1日目のセッションの中でも、あらゆる製品の環境負荷を材料までさかのぼりビジュアル化されたUIで確認できる「OpenTrace」の評判はかなり光っていたと言える。TechCrunch50の提唱者Jason Calacanisも、Enterpriseセッションのベスト1に選んでいたほどだ。 プレゼンテーターの二人の日本人(株式会社RINENの万願寺さんと萩原さん)に話を聞いた。

RINENの2人

:高評価に手応えを感じるRINENの2人。次の展開も胸に秘めているようだ。

―― 会場の反応もすばらしかったですね

万願寺さん(以下同):プレゼンをしている間は頭が真っ白で、あんまり覚えていないんです(笑)

―― 今回はどういう経緯で参加されることになったんですか?

僕たちはとても小さなスタートアップベンチャーなので、RINEN(エンジニア募集中! とのこと)のプレゼンス(存在感)を高めうる良い機会だと考えたからです。

―― なぜ自分たちが選ばれたと思いますか?

集合知という可能性の新しい使い方を示す試みだからではないでしょうか。Webサービスのテーマとして環境問題がニッチだという点もポイントだと思います。

―― 日本ならではの評価をされたという印象はありますか?

そう考えたくありませんね。OpenTraceの持つ可能性は、国境を問わず世界的に求められているはずだと思います

 Tonchidotのプレゼンでもそうだったが、語学力は必要条件ではなく、やはりいかにアイデアが優れているかというところに行き着く。30代半ばの万願寺さん、日本で待機している島地さんのチャレンジと創造力に同世代としてエールを送りたい。


筆者紹介──ALT Interactive

ALT Interactive

2008年設立。海外のWebサービスのスムースな日本導入をはじめ、インタラクティブ広告制作、マーケティングやインターフェイスについてのコンサルティングに加え、記事・書籍執筆といったオピニオン事業を行っている。

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