グーグルとも協力してやっていきたい
―― Chromeなどセキュリティー面を強化した次世代ブラウザーはやはり脅威ですか。
長島 たしかにブラウザーも進化しているかもしれませんが、私たちは20年間ウイルス対策を専業にして培ってきたノウハウがあります。ここはさすがのグーグルさんもかなわないのではないかと。それと、ウェブサイト自体のセキュリティーに特化している面もあると思いますが、USBメモリー経由などタンジブル(物理的)な感染経路に関しては私たちに利があると思います。
また今回、アメリカンホームダイレクトとパートナーシップを組んだ「保険PCサポート」を付属した製品も用意しています。クレジットカードを不正利用されて被害を受けた場合、年間100万円まで補償されるというものです。パソコン全般に関するサポートを電話やメールで受け付けるサービスも受けられますので、初心者の方でも安心してショッピングが楽しめるようになっています。
―― 今後、iPhoneなどのケータイで買い物をするという方も増えると思います。
長島 今のところ、iPhone向けのアプリやサービスという形で提供する予定はありません。現在、スマートフォン端末専用の「モバイルセキュリティー」というウイルス対策サービスは提供しています。
―― これからのトレンドマイクロはどこを目指していくのでしょう。
長島 現在、国内で有料のセキュリティーソフトを使っているユーザーはおよそ60%と言われています。残りの20%が試用版を含む無料のセキュリティーソフトを使っていて、あとの20%がなにも使っていないユーザーです。この数字を、ユーザビリティーを向上させることで上げていきたいのが1つ。それと製品自体のクオリティーをコンマ単位で0.1%でも、0.2%でもつねに100%を目指して提供していきたいというのが目標ですね。
また、新ウイルスの発見量も1日に500個程度で、5年前の約30倍と爆発的に増えています。ローカルのファイルを更新していくのでは追いつきません。ですから先ほどお話にあったグーグルさんの話につながりますが、「競合」というよりも「協業」と考えていきたいと思っています。リアルタイムで動くオンラインデータベースをどう有効に活用できるかということを今後の検討方針としていきたいですね。
―― ありがとうございました。