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平成20年度富士総合火力演習レポート(後編)

見た!撮った!これが「夜戦」だ!! 照明弾煌めく総火演・夜間演習徹底レポート

2008年09月11日 20時00分更新

文● 片田 本朔 / 写真と解説● 藤吉 隆雄・吉田/Webアキバ編集部

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74式戦車の白色光サーチライトで標的を照らす。これは観客に見せるためなので、実際に射撃するときは真っ暗だ

1930 東富士演習場(夜間演習) 状況:雨

 ついに夜間演習開始時刻が目前に迫ったが、雨は相変わらず強い。気温も下がり吐く息が白い。夜間に雨という最悪のシチュエーションだが、いかにも「自衛隊の現場」という緊張感が漂いはじめる。
 ここで筆者のムービーカメラが結露で動作不能となった。執筆のための記録なのでテレコとデジカメのムービー程度で対応できるが、他の機材は大丈夫だろうか。読者の皆様のためにも何とか最後まで持ってほしい。藤吉カメラマンは大事な商売道具を、カメラ本体の防滴構造を信用しカメラ用レインコートやコンビニ袋だけ防水している。Y戦車部長は借用機材のExilimにだけ防滴ビニールカバーをかぶせ、私物のEOS Kiss Degital Nはタオルで拭くのみの雨ざらし。

そして場内の照明が消えた。

 雨のカーテンの向こうに車両の緑のライトがぼんやりと見える。このライトが緑から赤に変われば射撃する準備が整った、ということだ。
 アナウンスが入り、各車両の名前が読み上げられた。

「90式戦車です」

ランプが赤に変わった。「ああ、そこにいるのか」などと呟くも、姿は見えない。明るい内に見た光景を思い出しながら、場所を確認した。
続いて各種装置の紹介が行なわれ、ついに射撃が開始された。

 はじめは小銃、機銃の掃射。昼間と同じはずなのだが、曳光弾の軌跡が眼に焼きつくほど鮮やかだ。雨のおかげで地面に出来た水たまりにも反射し、美しい効果を見せている。
 さらに迫力が増したのが戦車砲だ。発射炎が強烈なオレンジの光を発し、闇を切り裂いて弾が飛ぶ。

90式戦車の夜間射撃

90式戦車の夜間射撃(動画よりキャプチャー)

夜間演習90式戦車の射撃(音が出ます)

打ち上げられた照明弾。しきりにY戦車部長がPS用傑作某戦車ゲームの名前を口にしているが、どうやら夜戦で戦うシナリオがあって照明弾が出てくるらしい

照明弾に照らし出された待機中の74式戦車。射撃ランプが「準備中」を意味する緑色になっている

射撃ランプが赤色の「発射」に変わったところ

照明弾射撃

 照明弾が撃ちあげられると車両のシルエットが浮かび上がった。白昼の照明弾が月なら、夜ではまさに太陽である。しかし、ここでも悪天候の影響が出た。高々度に打ち上げられた照明弾ほど雲の中に隠れてしまい効果は得られなかったのである。今回、一番鮮やかに見えた81㎜迫撃砲が撃ちあげる照明弾は250mの高さで100万カンデラで照らす。1カンデラが100ワットの蛍光灯と考えれば、その威力が分かる。

81mm迫撃砲の照明弾発射シーン

81mm迫撃砲の照明弾発射シーン(動画キャプチャー)

81mm迫撃砲の照明弾発射シーン(音が出ます)。 丘陵地帯に布陣した我が陣地から照明弾発射後、雲の中から煌めく照明弾がゆっくりと降りてくるあたりが、気分はルンガ沖夜戦てな感じで雰囲気たっぷりだ。

照明弾下での射撃

曇り空に反射して例年の夜間演習より戦闘照明が明るく感じられる。 照明弾下の射撃に続いて、暗視装置使用下での一斉射撃

戦車の射撃

照明弾下での74式、90式戦車の射撃(動画キャプチャー)

この照明弾使用下での74式戦車、90式戦車の射撃(音が出ます)では、まず照明弾の発射と、その後3の台に向けての74式戦車の射撃、その後引き続いて4の台への90式戦車の射撃と続く。

戦車の射撃

暗視装置下での74式、90式戦車の射撃(動画キャプチャー)

 暗視装置下での74式、90式戦車の射撃(音が出ます)。戦車のエンジンのアイドリング音が轟く中、演習場奥の丘陵地帯に特科部隊が行なう射撃の着弾が続く。特科部隊の射撃が終わった直後、手前に布陣する戦車部隊が射撃を行なう。昼間の戦車砲の射撃は見慣れていた我々取材班ですら改めて感激した、激烈な閃光と轟音、そして衝撃波という三位一体の戦車砲射撃をぜひ味わって欲しい

最後は突撃破砕射撃。ターゲット周辺では曳光弾と跳弾の軌跡が飛び交い、幻想的ともいえる。まさに光のページェントだった

曳光弾

目標に集中する機関銃の曳光弾が美しい(動画キャプチャー)

 機関銃射撃(音が出ます)。暗闇の中、戦車のアイドリング音だけが聞こえ、そして命令一下、目標に向けて機関銃による激しい射撃が加えられる。

(次ページへ続く)

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