グーグルがWebKitを採用したワケ
すでにさまざまなところで話題になっているGoogle Chromeだが、実はアップルのウェブブラウザー「Safari」と大きな関係がある。それは、ブラウザーエンジンに「WebKit」を採用していることだ。
WebKitは、もともとUNIX系のオープンソースブラウザー「Konqueror」を発展させたもので、現在はアップルがメインとなって開発しているオープンソースのHTMLレンダリングエンジンだ。
そのせいか、SafariとGoogle Chromeはシンプルで高速という点で設計思想がよく似ている。
もともとウェブブラウザーには手を出さないと公言していたグーグルだが、あえていまブラウザーを投入してきた理由には、おそらくは急速に変化が起きている米国の携帯電話市場との関係が推測される。
日本に遅れること数年、携帯でネットを見ることがようやく普及しつつある米国で、なんとWebKitが携帯の標準になりつつあるのだ。
実際、米国の携帯大手5社のうち、すでに4社がWebKit陣営についているし、そもそもグーグルが発表したケータイ規格の「Android」自体がWebKitを採用している(関連記事)。
なぜ、ケータイがパソコンのブラウザーに影響を及ぼすのか。それは、単に携帯のウェブページをパソコンのブラウザーで作るというレベルに留まらず、UMPC(Ultra Mobile PC)やMID(Mobile Internet Device)といった様々なモバイル機器が普及する過程で、急速にパソコンと携帯の垣根が取り払われていく可能性があるからではないだろうか。
ひょっとすると、いままでのようなIE独占支配が一変する状況が、実は間近に迫っているのかもしれない。
シンプルさの裏に隠されたグーグルの戦略
話がそれてしまったが、Google Chromeの特徴を見てみよう。初めて使う人がまず最初に思う感想、それは「シンプルである」ということではないだろうか。
まるでデビュー当初の「Google」のようにシンプルなインターフェイス、そして高速なブラウジングはユーザーに鮮烈なイメージを与えたようで、ネット上で見かける評価も高いようだ。
筆者の感想としては、シンプルであるために機能を厳選している印象を受けた。たとえば、今時のブラウザーとしては珍しくRSSリーダーは搭載されていない。これは、「Google Reader」というオンラインRSSリーダーのサービスをすでに展開しているからであろう。
グーグルのオンラインサービスの欠点のひとつは、オフラインでは使えないことだが、それをカバーするための技術「Google Gears」がGoogle Chromeには搭載されている。
グーグルのサービスでもGoogle Gearsに対応しているものはまだ少ないが、将来的にどんどん採用していくものと思われる。そうなると、Google ChromeはGmailなどのアプリケーションのフロントエンドとなることだろう。
実際、すでに「Gmail」などへのショートカットを作る機能もGoogle Chromeに搭載されている。ブラウザーとしてはシンプルさを保ちつつ、ウェブアプリケーションとの連携を図り機能を充実させていく、それがGoogle Chromeの方向性と見た!