中距離火力はヒット・アンド・ウェイの華となれ
81mm迫撃砲L16、120mm迫撃砲RTの登場だ。車両から降りた隊員たちは素早く設置、20秒程度で迫撃砲の射撃準備が整う。
迫撃砲は砲口から弾を入れる前装式、曲射弾道で目標を上から攻撃する火砲だ。建物の裏に隠れた敵もこの攻撃からは逃れられない。81mm迫撃砲は40キロを切る重さなので歩兵が携行することも可能だ。それ故、イラクではテロリストが乗用車に積んで、場所を転々としてながら投票所などの施設を攻撃した、という実例もある。取り回しが簡単でどこからでも撃てる分、敵に回すと厄介な兵器である。
・対戦車誘導弾
89式装甲戦闘車に積まれた79式対舟艇対戦車誘導弾、87式対戦車誘導弾と続けて発射。火砲と異なり、弾頭を肉眼で追うことができた。続けて96式多目的誘導弾を撃つはずだったのだが、「射撃状況が整わないため、射撃を行ないません」とアナウンスされてしまった。残念。
守りも堅い近距離火力
まず登場したのは対人障害だ。これは対人地雷禁止条約の締約以降は「指向性散弾」と呼ばれている。なので「地雷ではない」ということだ。
敵地を襲う一陣の風!普通科火力
ここでヘリの登場である。CH-47Jから降下した隊員は橋梁に爆薬をセット。爆破後、再びCH-47Jで帰投というシナリオだ。
正直なところ、降下シーンは良く見るのだが回収のシーンが記憶になかった。さてどうだったか、もちろん一人一人が悠長に登るはずもないのだが……。
答えは思ったよりもあっさりしていた。帰りは一本のロープに全員が吊り下ってゆくのだ。
「おお、千手観音に見える」
思わずストレート感想を述べてしまったが、よく見ると隊員たちはぶら下がった状態で射撃姿勢をとっている。もちろん慈愛の代わりに敵に痛打を与える炎の千手観音なのだ(妄想)。
・対人狙撃銃
今回、火砲の次に驚かされたのが狙撃手だ。たまたまファインダーを覗いている時に目の前を駆け抜けていったため、思わず声を上げてしまった。緑色のムックというべきか。
普段は隠れて撃つところ、見学者に分かるよう見える位置からの射撃となった。近くに立つ隊員は肉眼でも見えたが、肝心の狙撃手は射撃姿勢が伏せ撃ちで、偽装のため輪郭がぼやけてよく見えない。赤帽の隊員がいなかったら、わからなかった。
射撃目標は500m先の人型ターゲットに埋め込まれた「皿」。
もちろん命中である。
続いて軽装甲機動車が登場。01式対戦車誘導弾の射撃が行なわれた。
初めは近距離を低伸弾道モードで射撃。続いてダイブモードでの遠距離射撃が行なわれた。低伸弾道モードが目標を正面から攻撃をするのに対し、ダイブモードは目標手前で上昇し、戦車の装甲の薄い上部から攻撃するものだ。
96式装輪装甲車が登場すると12.7mm重機関銃の一斉掃射が行なわれた。不幸中の幸いか、曇天のおかげで曳光弾の描く弾道がくっきりと見えた。
射撃が終わると後部ハッチから普通科隊員が登場、89式小銃の射撃となった。人型ターゲットは5.56mm弾を浴びて蜂の巣となり、炎上した。非常に分かりやすい演出だ。
84mm無反動砲、110mm個人携帯対戦車弾が観客席正面で披露された。実際の射撃は離れた場所の茂みで行なわれたが、発射時の後方爆風が数mに渡って白煙を噴いたため、射撃位置はすぐに特定できた。この武器を構えた兵士がいたら前はもちろん、間違っても後ろに立ってはいけない。
普通科火力の締めに89式戦闘装甲車の35mm機関砲の射撃が終わると、ローター音が場内に響き始めた。
(次ページへ続く)