ドライブエクステンダーで柔軟なHDD拡張が可能
WHSの最大の特徴は「管理の容易さ」にある。ビジネス用途向けのサーバー機能を省いて、ホームサーバーに特化したためだ。
例えばWHSでは、データ保存用HDDの管理を容易にするために、ドライブエクステンダーを導入している。WHSでのHDDは、何台接続されていてもOSが入るシステムドライブ(Cドライブ:20GB)と、データドライブ(記憶域ハードドライブ)の2つだけになる。
ドライブエクステンダーによって、WHSは異なるインタフェースや容量のHDDを、ひとつのデータドライブにまとめられる。SATAやUSB、IEEE 1394など、WindowsがサポートしているさまざまなインタフェースのHDDがデータドライブとして利用できる。なお、ドライブエクステンダーはいわゆるRAIDではなく、WHS独自の機能となっている。
これら複数のHDDは、データドライブとしてまとめるだけでなく、後日接続解除することもできる。接続を解除するHDDに入っていたデータは、自動的に他のHDDにコピーされる。
ちなみにWHS英語版では、この接続解除に信じられないほどの時間がかかった(以前試した時には、100GB HDDを接続解除するのに、2時間ほどかかった)。PP1では接続解除にかかる時間が、10分の1ほどに短縮されている。
共有フォルダーの二重化で、大事なデータを保護
サーバーマシンにHDDが1台しかない場合は、データの二重化は行なわれず、オリジナルデータだけを保存する。後からHDDを追加した場合、設定を変えて二重化を有効にできる。指定した共有フォルダーだけを二重化する、といったことも可能だ。
すべての共有フォルダーを二重化すると、膨大なHDD容量が必要になるそこで、例えば無くなっては困る家族の写真やビデオは二重化したフォルダーに保存し、オリジナルのCDから何度でも取り込める音楽データなどは、二重化しないフォルダーに保存するといった使い分けも、HDD節約には有用だろう。
なおPP1では、USB接続など外付けHDDに、共有フォルダーを自動的にバックアップする機能が追加された。これを利用すれば、二重化されていない共有フォルダーも、簡単に外付けHDDにバックアップできる。外付けHDDはバックアップする時だけ接続して、普段ははずしておくという運用もできる。
クライアントもまとめて管理
WHSではクライアントパソコンのフルバックアップを行なえる。この機能を利用すれば、クライアント側に深刻なトラブルが起きても、復旧用CD(Restore CD)を使ってブートすれば、サーバー側にバックアップされたクライアントのOSやデータなどを復元できる。
また、クライアント側のセキュリティーセンターと連携して、管理下にあるクライアントのセキュリティー状態を確認することも可能だ。クライアントのファイヤーウォール設定が不適切だったり、Windows Updateやウイルス対策ソフトのアップデートが行なわれていないと、管理コンソール上で警告が表示される。
家庭内に何台ものパソコンがあって、いちいちセキュリティー状態を把握するのが大変、という場合に役立つ機能だろう。残念なのは、WHS側から強制的にクライアントの設定を変更したり、アップデートを行なったりはできないこと。WHSの次期バージョンに期待したい。
WHS日本語版の主な機能の詳細については、関連記事1の2ページ目を参照していただきたい。