月刊アスキー 2008年10月号掲載記事
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、昨年10月に新方式のウェブ広告配信サービスを採用して以来、自社ECサイトの売り上げ件数を2倍へと拡大。購入に結びついた際の1件当たりの獲得コストも5分の1と、大きな成果を得ている。
それを支えているのが、アドバタイジングドットコム・ジャパンの成果型広告課金サービス「アドネットワーク」だ。ネットワーク内の複数のメディアサイトと連携し、それぞれの特性を踏まえて、広告を出稿したクライアントに最も適したサイトにバナー広告を配信する。特筆すべきは、バナー広告を見た人がその時点ではクリックせずに、後でリスティング広告やアフィリエイトを通じてクライアントのサイトを閲覧しても、それと判別する「インプレッション・トゥ・コンバージョン」と呼ばれている技術が組み込まれている点。その場でクリックされなければ効果を測定できなかったウェブ広告の常識を打ち破るシステムと言える。
日本HPの松本英樹氏は、アドネットワーク採用の理由として、
1. 予算を効率的に活用し、売り上げに直結させられる仕組みと判断したこと
2. 販売代理店が成果報酬型の提案としたことで、自信があると感じたこと
3. 同業者が利用していないこと
の3点を挙げる。
「アドネットワークを利用することで、どの媒体にどれだけの期間、どんなコンセプトの広告をどの程度のサイズで出すというメディアプランが事実上不要になりました。ここにかかる工数は10分の1にまで減っています」。
また、広告原稿に関しても効果の少ないものが自然淘汰されていくため、より高い効果を狙って細かな変更を加えやすいという。「バナーを何種類も用意するなど、職人的なオンラインマーケッターが継続的にチューニングすることで、効果は劇的に上がります」。
2006年6月に国内におけるコンシューマPC市場に再参入して以来、在庫負担が少ないオンラインを主軸とした販売戦略を掲げている日本HP。現在のオンライン販売における同社のシェアは10%弱だが、2年後にはこれを30%にまで高め、獲得コストは1万5000円まで下げたいと、意欲的な目標を掲げている。