徹底した二重化で高い信頼性と稼働率を確保
ブレードサーバーのように、多くのサーバーを1カ所にまとめると、故障時にそのサーバーで運用していたすべてのサーバーに影響を与えるデメリットがある。したがって、ブレードサーバーのシャーシには、非常に高い信頼性が求められる。
そこでBladeCenterは、SPOF（Single Point of Failure：システム全体を停止させてしまう弱点）がないようにシステムの各部を二重化している。各ブレードとシャーシを接続するコネクターも、シャーシ側のブレード接続口であるバックプレーンも、シャーシの電源も、オプションではあるがシャーシ内に装着するネットワークスイッチも、下図のようにすべて二重化されている。シャーシにブレードサーバーを取り付けるだけで二重化された状態になるのだ。
BladeCenter内部の二重化
シャーシ全体を管理するための管理モジュールも、各シャーシに2台まで搭載できる。管理モジュールはIPアドレスを割り当てて、リモートでシャーシの設定を構成したり、状態を確認したりするために使うが、通常使用の管理モジュールが故障しても、待機中の管理モジュールに自動的に同じIPアドレスを割り当てられ、サーバーの管理を続行できるのだ（最初から2台に別のアドレスも割り当てられる）。
BladeCenterのシャーシに搭載する管理モジュール
日本アイ・ビー・エム テクニカル・セールス・サポートフィールド・テクニカル・サポートシステムx アドバンスト・テクニカル・サポートコンサルティングITスペシャリスト佐々木言（げん）氏
消費電力の少なさもBladeCenterの魅力だ。日本アイ・ビー・エムの佐々木言氏によれば、サーバーの消費電力の約3分の1はCPU。インテルとAMDのおかげで、CPUの消費電力はこれでもかなり改善されている。しかし、多くのサーバーを統合するブレードサーバーであれば、CPUだけではなく、システム全体の消費電力も低く抑えられた方が製品の魅力が高まる。佐々木氏は「残りの3分の2の消費電力を抑制していくのが、サーバーベンダーの義務」だという。
そこでIBMは効率の高い電源を開発した。一般的なIAサーバーの電源の場合、直流・交流変換の効率は70％台だが、BladeCenterに搭載されている電源では、ほぼ限界に近い90％に達しているという。また、BladeCenterでは省エネルギー化のために、ストレージのオプションに、SSD（Solid State Drive）を用意している。通常のHDDはアイドル時とアクセス時の消費電力が大きく異なる。一方SSDはつねに消費電力が一定で、HDDの約10分の1程度しかない。HDDとSSDの消費電力の差はせいぜい20W前後だが、ブレードサーバーのように多くのサーバーを集積する場合、SSDの効果はそれだけ大きくなるだろう。
（次ページ「ブレードサーバーとシャーシの種類」に続く）
