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時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!” 第25回

Google ストリートビュー、何が問題か

2008年09月05日 09時00分更新

文● トレンド編集部、語り●津田大介(ジャーナリスト)

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配慮が足りなかった


── GSVと同種のサービスは今まで国内にもありましたよね?

津田 ええ。しかし、似たようなサービスでは、さまざまなことに配慮したうえでサービスを展開しています。

 例を上げると、GSVではあまり人が入らない小道まで撮影していることを問題視する向きが多いです。しかし、2007年10月にサービスを始めた「ロケーションビュー」でも、同じように小道まで入って撮影しています。

ロケーションビュー

(株)ロケーションビューが提供する「ロケーションビュー」。画像はアスキー・メディアワークスが入っているビルの前を表示したところ

 ロケーションビューは、メインのクライアントが官公庁なんですよ。例えば消防署が、火事が起きた際、消防車が入れる道なのか建物の構造はどうなっているのかを調べるために使っています。「緊急事態に対処するための社会的なインフラ」という位置付けであれば、サービスに対する抵抗感も少なくなるのでしょう。しかし、グーグルはそうした「目的」や「メリット」を明かさずに、いきなり誰でも利用できるようオープンな状態でサービスを開始してしまった。


── GSVでは「カメラの位置が高いから垣根を越えて中まで見える」「偶然映り込んだ人間やナンバープレートへの配慮が不十分」といった問題も指摘されています。

津田 ロケーションビューでは、カメラの撮影位置をGSVよりも低く設定していて、人間の目の位置に近い。また、写真をサービスで公開する前にすべての画像を「目視」して、問題になりそうな人の顔や車のナンバーにぼかしを入れています。自分の周囲の生活空間が人目にさらされる「気持ち悪さ」に配慮したということですね。

 一方、GSVは、すべて自動処理に任せてしまって、そのあたりにコストをかけていない。先日のシンポジウムで山田先生(専修大学准教授の山田健太氏)もおっしゃってましたが、巨大メディア企業としてその姿勢はどうなのかということです。グーグルよりも規模の小さな日本のローカル企業でも目視による確認ができるんだから、グーグルにできないわけがないですよね。そうした意味でも配慮が足りなかったと思います。

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