100%の展望はないが、環境は整いつつある
── ちょっと希望が持てました(笑)。不老不死を実現する最後の砦は、脳というわけですね。Amrit不老不死研究所で、脳の情報をパソコンにバックアップするという記事を拝見しましたが、ああいった方法で記憶というかアイデンティティーを継続させることはできないですかね?
ふぇちゅいん 脳の中で記憶がどういうふうに保存されているのか、まだ分かっていないですからね。頭に電線を差してデータを読み取るというのは、今の科学の延長線上ではできないでしょう。可能性としては、かなり精密な3Dスキャナーで脳の構造を読み取る方法が考えられます。ただ、読み取り方が分からないから意味ないですね。
── では、読み取り法が確立されるまで、自分を冷凍保存しておくのはどうでしょうか。米国では、すでに遺体の冷凍保存ビジネスが成り立っていると聞きます。
ふぇちゅいん 今のは冷凍した時点で細胞が壊れるから、元に戻るわけないですよ(笑)。冷凍肉が生より美味しくないのと同じです。ただ、冷凍法も徐々に進化していて、生きたまま凍らせられるのにあとちょっとと言われています。今でも、電子レンジみたいに分子を振動させながら冷やすことで、細胞の破壊を防ぐという冷凍法が実用化されていますから。
── なるほど。それこそ20年経てば、不老不死の実用化まで凍って待つということはできそうですね。しかし、暗くはない未来像があるのに、ふぇちゅいんさんは何故再生医療から離れたんですか?
ふぇちゅいん ガンがいつでも治せるという状況がまだ来ていないからですね。再生医療にとって一番の問題はガンなんですよ。再生医療は細胞をコピーする取り組みですから、現状では100%の確率で完全コピーに成功しなければなりません。1%でも劣化コピーが発生すると、それはガンになり、ほかの細胞を蝕んでいく。この問題がクリアできる光明が見えたら、きっと再生医療系の職場に転職すると思います。
筆者紹介──古田雄介
元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニアのデジタル&サブカルライター。インタビューの際、アルカーナの運営サイト「pandola.jp」に載せる「インターネットを使っていて、良かった体験」を書かせていただきました。手書きの文字が超汚くて自己嫌悪中です。「古田雄介のブログ」では、皆さんのお勧めサイトを募集中です!
*次回は9月15日掲載予定
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