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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第32回

永遠の命は20年以内に実現?――Amrit不老不死研究所

2008年09月01日 15時00分更新

文● 古田雄介

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専門分野の情報の信憑性を見抜くコツ



── 客観的なソースをたどれる記事ばかりを紹介していると思いますが、それでも専門性の高い分野は学者によって見解が異なることもあって、情報選定の難易度が高いと思います。ふぇちゅいんさんはどんな基準で選定していますか?

ふぇちゅいん 一応、論拠や判断の元にするのは、学術論文のみと決めています。学術論文は、何人もの専門家がチェックしたあとに世に出るので、まあ信頼に足るかなと。まあ、ごくまれにねつ造事件が発生したりもしますが(笑)

 この分野は特に、表に出てくる日本の記事なんでひどいもんなんですよ。実験の前提や条件を無視して結論だけ書いていたりして。たとえば「ローヤルゼリーはガンに効果があって、寿命が延びる」っていう話があるじゃないですか。でも、ローヤルゼリーを飲んでいるような人は、ほかにも健康に気を付けているんです。本当に効果を知ろうとするなら、ほかの条件をすべて同じにした検証をしなければならないですよ。

「日本の記事なんでひどいもんなんですよ」の一例。「ビタミンC投与でがん半減、マウス実験で、米研究所」という記事のリンク先はタイトルどおりの内容を記載していたが、ふぇちゅいん氏が原文を調べると「がんが縮小したわけでなく、進行が遅くなっただけ」と判明。誤解を招きやすい記事には、そういった「つっこみ」も適度に入れている


── ただ、普通に不老不死系のサイトを探しても、そういった情報を鵜呑みにしたものや、途中から精神論に行ってしまう怪しいものがたくさん見つかります。専門外の人が、そういったサイトを見抜いて省くコツってありますかね。

ふぇちゅいん うーん、難しいですね。学者さんですら、文献を引用する過程で原文の注釈などを省いて理解してしまい、勘違いしている例をたまに見ますから。

 でも、あえていえば、よりたくさんの情報を扱っているサイトのほうが安心できるでしょう。ビタミンCを例にとると、色々な研究結果で「体にいい」というものもあれば、「ガンを増やす」と結論しているものもあります。多分どちらも真実なんですよ。ガンも細胞の一種なので、体にいいものはガンの栄養にもなるという側面は確かに否定できませんから。そういう側面も把握しているサイトのほうが、信頼性が高いといえるでしょう。


── なるほど。複数の真実を用意して、読者に判断の自由を与えるサイトというわけですね。ふぇちゅいんさんはそういった点を考慮していると思いますが、それでも批判のメールをもらうとか。

ふぇちゅいん 「不死を望んではいけない」という便りはよく届きますね。あと、「一緒に研究しましょう」っていう怪しいお誘いとか(笑)

 ただ、最近はあまり来なくなりましたね。最近僕がちょっと大人になって、客観的に記事を書いているからかもしれません。昔は「もうすぐ実現!?」みたいな、多少煽り気味の書き方をしていましたから。今は年1~2通くらいですかね。


ふぇちゅいん氏の兄弟サイト「useWill.com」

 ウィルコム信奉者のふぇちゅいん氏が、WILLCOMのPHSを中心に関連ニュースや製品のレビュー記事などを紹介する情報サイト。こちらは1日2万アクセスを誇っており、同ジャンルの定番サイトとして不動の地位を獲得している。

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