塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤” 第16回
塩澤一洋の“Creating Reed, Creative Mass.──大公開時代の羅針盤”
デジタルの時間軸
2008年09月07日 15時00分更新
この点、次期Mac OS X Leopardには「Time Machine」が搭載される※。「時間軸」という概念がMacの中に明示的に取り入れられるのだ。Macの中で扱う情報の変化が時系列に自動保存され、必要に応じて過去の状態にさかのぼって取り出せるようになる。
※この記事はLeopardが発売される前の'07年10月号MacPeopleに掲載されたものです。
しかし、Macにおける時間概念はTime Machineに始まったことではない。すべてのファイルには作成時にタイムスタンプが付加されるし、変更を加えたときにもその日時が記録される。それによって各ファイルをFinderで新しい順(または古い順)に並べることは瞬時にできる。つまりMacにはもともと、「新しいファイルほど上にある」という究極の「超整理法」が実現しているのだ。
けれどもこのファイルシステムでは原則として過去のファイルを上書きして新しいものが保存される。だから過去のある時点のファイルの状態、あるいはMacの状態をあとから再現することは非常に難しい。
またインターフェースとしても、デジタルに記録されたタイムスタンプだけでは、その古さ(新しさ)は感覚的には伝わりにくい。これらの問題に対してTime Machineは、時間軸を画面の奥行きというスケールに置き換えることによって、経過した時間をさかのぼる長さで感じ取りやすくすることになる。
この便利な仕組みがMacに搭載されていない現在、私は自分が作るファイルの途中経過を、時間を追って独立のファイルとして残すようにしている。たとえば、前日に途中まで書いた原稿の続きを書くときは、そのファイルの複製を作ってそれを開き、その日の作業を行って保存。
また、1日の中でひとつのファイルに多くの改変を加えていく場合には、要所要所で「別名で保存」をして、作業の過程を残している。こうすれば、あとで以前の状態に戻りたくなったときにも安心なのだ。
(次ページに続く)
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