障害物をかんたんに取り除く「旅行者除去機能」
最後が「Photomerge Scene Cleaner」。栃谷氏によると「開発段階では『Tourist Remover』と呼ばれていた」という。旅行先で撮ったせっかくのいいショットに関係のない他の旅行者が写り込んでしまって、興ざめという事はよくあること。こうした余計な被写体をかんたんに消せる機能だ
使い方はかんたんだ。いいショットの写真とその前後に撮影した関係のない人が写っていない写真を選んで、いらない部分をクリックすれば消えていく。また、複数の被写体がいる場合、それぞれのもっともいい表情のショットばかりを集めて、みんながいい表情をした、ミラクルショットも作り出せる。
このほか、Photoshop Elementsには写真整理モードと写真編集モードがあり、写真整理モードではテキスト検索できるようになった。大量の写真の管理がまた一段と楽になる。
実は本家Phtoshopよりも先行するElements
明らかな進化を遂げたPhotoshop Elementsだが、どうしても上位のPhotoshop製品と比べて、オマケ的なイメージが拭えないという人もいるだろう。これは1999年に Photoshop LEとして登場した際に、Photoshopの「機能限定版」だったという経緯が少なからず影響しているのかもしれない。
しかし、2001年にPhotoshop 6をベースに独自の機能を追加した「Photoshop Elements」が登場してからは、Photoshopの機能限定版という印象は薄れた。バージョンを上げるごとに単体製品としての存在感を増してきている。
栃谷氏は「当初、米国のPhotoshop の開発チームとPhotoshop Elementsの開発チームはひとつでしたが、いまでは開発チームもスタッフも別。今回のPhotoshop Elementsも基本的には、初心者でも扱える、という独自のコンセプトを持った製品として出しており、使いやすさと作業効率の向上を踏まえた形で開発しています」と語っている。
PhotoshopとPhotoshop Elementsはコアのエンジン部分は共通しているものの、それぞれの製品コンセプトに特化した機能を開発、実装している。これらの製品の性格が見事に形になって現れてきている。
また、以前のバージョンにおいて、Camera Rawのプラグインを上位に先立って採用するということがあった。「優れた機能を作ったら、お互いがその機能を取り入れるという姿勢でそれぞれが開発にあたっています」と栃谷氏は語る。今回のPhotoshop Elements 7に搭載された新機能にも、そうしたすぐれた機能がある。
従来の作業手順を踏めばPhotoshopでもできる事だが、クイックフィックスや Photomerge Scene Cleanerのように、手軽に加工ができる事で作業効率を上げることができるわけで、こうした機能はPhotoshopにも取り入れてほしいものだ。