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Atomで検証! 小型PCの実用性 第4回

みんな大好き3DギャルゲーとMMO RPGでAtomの真の実力を知る

2008年08月28日 21時00分更新

文● 山田 広樹

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 前頁までの検証で、「Atom 230」の性能がどれくらいかは理解できたと思う。では、その「Atom 230」は他のモバイルCPUと比較するといったいどのへんに位置するのだろうか? ここではAtomとそれ以外のCPUで性能を比較してみたい。

主なモバイルCPUのスペック
  Atom 230 Celeron 540 C7 1.8GHz
FSB 533MHz 533MHz 800MHz
動作クロック 1.6GHz 1.86GHz 1.8GHz
2次キャッシュ 512KB 1MB 128KB
TDP 4W 30W 15W

 CeleronはAtomに比べて動作クロックが高く、キャッシュ容量も大きいが、TDPはひとケタ大きい。C7はTDPがCeleronの半分程度だが、キャッシュが少ないことがわかる。

エンコードなどに高い性能を発揮

 検証では640×480ドット、1分7秒の動画ファイルをエンコードするのにかかった時間を計測した。「Atom 230」のMPEG2への動画エンコード時間はC7の半分以下だ。「CineBench R10」や「PCMark05」のCPUスコアーもC7を上回っている。CPU性能は「Celeron 540」に及ばないが、サーバーやセカンドマシンとしては十分な性能と言えるだろう。

動画エンコード時間(単位:秒)

動画エンコード時間(単位:秒) Fast←

CineBench R10 multiCPU

CineBench R10 Rendaring multiCPU(単位:score) better→

PCMark05 標準設定 (単位:score)

PCMark05 標準設定 (単位:score) better→

発熱が小さくCPUファンは不要

 次に、システム全体の消費電力とCPU温度を計測してみた。システム全体の消費電力にはあまり差が出なかったが、AtomのみCPUファンが装着されていないにもかかわらず、高負荷時でもCPU温度が低いことに注目してほしい。C7も低いが性能差を考えると、ダントツにAtom優位だ。

CPU温度

CPU温度(単位:℃) ←better

消費電力

消費電力(単位:W) ←better

ミニPCの新たな地平を拓く可能性を秘めたAtom

 正直「Celeron=ローエンド」と認識しがちな自作ユーザーには、Atomは「アレ? こんなもん?」という結果に感じるかもしれない。正直に告白すると、ワタクシもそうです。しかし、Atomは価格も性能もCeleronの下、とインテル自身が定義しているのを忘れてはいけない。Celeronとどっこいの性能だったら、みんなが安いAtomを買って、CeleronとAtomが共食いになってしまう。
 勝てないことが宿命づけられたCeleronとの比較よりも、低価格&ミニPC向けの直接の先輩かつライバルであるC7との差に注目してみよう。消費電力はほぼ同等ながらも、ほぼすべてのテスト項目においてAtomはC7を上回っている。さらに、搭載マザーの実売価格もAtomのほうが安価だ。Atomはコストパフォーマンスや、低発熱・低消費電力による“扱いやすさ”を武器に、ミニPCの新たな地平を拓く可能性を秘めている、と言っても過言ではないはずだ。……ただ、やっぱりCore2 QuadとかPhenomとかに慣れている身としては、なんだかその性能に煮え切らないものを感じてしまう。なんだろう? このなんとかできそうで、できないモヤモヤした感じ。次回は、最強のMini-ITXマシンを作り出すことで、そのモヤモヤを解消していきたい。

ベンチマーク環境

<Atom環境> マザー:intel「D945GCLF」、メモリー:「DDR2 PC6400 1GB」、HDD:HGST「HDP725050GLA360」
<Celeron環境> マザー:AOpen「i965GMt-LA」、メモリー:「DDR2 SODIMM PC5300 1GB」、HDD:HGST「HDP725050GLA360」
<C7環境> マザー:VIA「EPIA SN18000G」、メモリー:「DDR2 PC6400 1GB」、HDD:HGST「HDP725050GLA360」
※温度はソフトで計測できず、ヒートシンクに温度計を取り付けて計測

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