先生、質問です!
Q インテルのデュアルコアとAMDのデュアルコアは何か仕組みが違うんですか?
A どちらもデュアルコアはデュアルコアだが、設計思想、考え方が違う。
AMDが最初にリリースしたパソコン向けデュアルコアCPU「Athlon 64 X2」は、1つのダイ(半導体本体)に2つのコアを集積したいわば「清く正しいデュアルコア」だった。2つのコア同士は「クロスバースイッチ」と呼ばれる構造を経由して、CPUのフルスピードでデータをやりとりできるようになっていた。
それに対し、インテルがAthlon 64 X2に対抗すべく投入したデュアルコアCPU「Pentium D」は、ダイは1つだがシングルコアのPentium 4をそのまま2つ並べた構造をしていた。そのため、Pentium Dの2つのコアはFSB経由で通信することになり、CPUのフルスピードでデータをやりとりすることはできなかったのだ。
もちろん現在のCore 2 Duoシリーズは、最初からデュアルコアCPUとして設計されているため、そうしたボトルネックは解消されている。
ところが、実はクアッドコアでも似たような現象が起きている。今のCore 2 QuadシリーズはデュアルコアのCore 2 Duoダイを2つ搭載してクアッドコアを実現しているのに対し、AMDのPhenomは1つのダイに4つのコアを集積したネイティブクアッドコアなのだ。
ただ、設計自体はAMDのほうがエレガントなんだけど、パフォーマンスはインテルのCPUのほうが高いことも多いので何とも言えないところだ。
最新トレンド:1つのCPUに10コア以上が標準搭載される日も近い
現在、インテルのマルチコアCPUとしては、クアッドコア製品(Core 2 ExtremeやCore 2 Quad)とデュアルコア製品(Core 2 DuoやPentium Dual-Coreなど)がある。AMDでは、クアッドコア製品(Phenom X4)とデュアルコア製品(Athlon X2など)の他に、トリプルコア製品(Phenom X3)も発売している。ちなみにXbox 360のCPUもトリプルコアだ。
今後コアの数はさらに増えていくと予想されており、2010年前半にインテルが投入予定の「Westmere」(開発コードネーム)は6コアになる。そう遠くない将来、パソコンにも数十を超えるコアが搭載されるようになるだろう。
■ 著者紹介
石井英男(いしい ひでお)
テクニカルライター。東京大学大学院 工学系研究科出身。在学中に雑誌や書籍の執筆を始め、大学院卒業後、フリーライターに。パソコンのハードウェアをはじめ、ノートパソコンやPDAなどのモバイル機器を専門としている。
太田虎一郎(おおた とらいちろう)
漫画家。かわいいキャラクターとシュールな世界観の絶妙なミスマッチが特徴。漫画ファンを中心にコアな人気を誇る。代表作に『宇宙の法則 世界の基本』(コアマガジン)、『かるき戦線』(芳文社)など。
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