そもそもパソコンっていったいなに? ~スイッチの巨大なかたまり~
私たちの日々の生活の中でもはや不可欠な存在になっているパソコンは、いったいどういう仕組みになっているのでしょうか? それではパソコンのケースの中を撮った写真を見てみましょう。
緑色の板(プリント基盤といいます)の上に、黒いプラスチックのパッケージ(集積回路)がたくさん載っています。個々のパッケージからはたくさんの数の金属製の足が生えていて、それぞれがプリント基板の中に埋め込まれている金属の導線とハンダでくっつけられています。パソコンの電源が入っている間は、足どうしをつなぐ膨大な数の導線に常に電気が流れています。小学校の実験で、「豆電球と乾電池を導線でつないで回路を作り、豆電球を点灯させる」というのがあります。実はパソコンも、皆さんが理科実験室で作ったのと同じ「電気回路」なのです。
「ちょっと待って。ただの電気回路がどうやって計算をしたり文書を扱ったりできるの?」――そう、パソコンの電気回路はただの電気回路じゃありません。その正体は黒いプラスチックのパッケージの中に隠れています。それでは、パッケージを開いて顕微鏡で覗いた写真を見てみましょう。
シリコン(珪素)でできた板の上に、膨大な数の部品が作り込まれていて、部品同士がやはり金属の導線でつなげられて電気回路をつくっています。実は、この写真に写っている部品のほとんどは、「トランジスタ」という名前のスイッチなのです。最近のパソコンには、何十億個もの「スイッチ」が入っています。スイッチの巨大なかたまりといってもよいでしょう。
スイッチには「オフ」(電流を流していない)と「オン」(電流を流している)の2通りの状態があります。パソコンの中に入っている個々のトランジスタもまったく同じで、2通りの状態しかありません。言い換えると、1個のトランジスタは「オフ」か「オン」かの2通りの情報、数字でいえば「0」か「1」しか表現できないのです。