むしろ積極的にパクってほしい
── アート的なにおいも感じますよね。昔CPUのマスクパターンの写真集を出版したことがあるんですよ。クリーチャーって言うんだけど、回路の中に人の顔が入ってたりするの。半導体のイースター・エッグと言ってもいいかもしれない。一般の人が見ることはまずないんですけどね。古くは(CMOSチップの基礎を築いた)フェデリコ・ファジンの「FF」というのが有名だけど、MIPSの石に怪獣とかアメリカの有名な犬のキャラクターが印刷されてたり。アート的な根性を忘れたら楽しいものを作れないですよね
森 面白いですね。
いま開発は3名いて、ひとりは私自身で、残りは北海道。とにかく作りたかったんですよ、ハード・ソフト・サービスが一体になったものを。できるだけコンパクトな企業体で。商品もできるかぎり出さない。サポートもしない。多分食っていけないけど、3年ぐらいは利益を考えずやってみたい。ヘンなことやってる人間がいるって話題になれば、将来的にコンサルティングでいけるかもしれない。
── 図面を売ってメーカーに提案する方向は。
森 サポートなしならいいですけどね。メーカーにどうですかというのもおこがましいので、営業は一切していないですね。むしろこのコンセプトをどこかがパクって、大ヒットを飛ばしてほしい。そうすれば嬉しいし、このコンセプトを考えたのは僕だよと言えるから。
年末にドワンゴの経営から退いて、時間に余裕ができたんです。ものづくりの人たちはとても立派で、コストダウンとかついつい考えてしまう。中身はスカスカだけど、「こういうものはなかったでしょう」と提案したかった。そこで何を得るかはよく分からない。自己満足かもしれない。とにかくBio_100%のころみたいに、無責任に好きなものをやってみたんです。