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iPhone発売から1ヵ月を振り返る(前編)

林信行が語る「日本メーカーがiPhoneを超えるには?」

2008年08月07日 09時00分更新

文● トレンド編集部、語り●林信行

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公衆無線LANが、ネットワークへの負荷を分散する


── 以前、言及されていたNTTドコモ版iPhoneも気になるところです。今でも待ってる人はいますか?

 まだまだ結構いるみたいですよね。そこいらへんは「ナンバー1はなんとなく安心」というイメージが安心という人もいるし、もうひとつ、自分の住んでいるところはソフトバンクの電波が入りにくいから、と嫌がる人もいます。

 都内でも、ドコモやauに比べて電波が入りにくいと感じることが多いのは否めませんが、ソフトバンクの側も、そうしたHSDPA網の敷設は頑張っているそうです。今、HSDPAのユーザーが実際に使っているカバー率は80%くらいだけれど、これを95%くらいまでに持っていくのが目標と語っていました。


── 人口カバー率80%というと、少し狭い印象です。

 80%という数値は日本水準で比べると低そうに見えますが、世界の平均で言えば高い方です。実は日本はiPhoneでデータ通信をする上では最高の環境なんですよ。3Gの話でいえば、AT&Tも3Gが主要都市周辺で使えるくらいで、きちんと敷設できていません(関連リンク)。ちなみにAT&Tは、公衆無線LANスポットの拡充も同時に進めています。


── 公衆無線LANというと、ソフトバンクもグループ会社が「BBモバイルポイント」を提供しています。

BBモバイルポイント

iPod touchでBBモバイルポイントにアクセスしたところ

 公衆無線LANはひとつのキーワードですね。ソフトバンクがいつ行動に出てくるか分かりませんが、僕はある時点でソフトバンクが公衆無線LANサービスに本腰を入れてくるのではと考えています。

 というのも、iPhnoeの通信が万が一、回線の負荷になるなら、ケータイ事業者としてはHSDPAよりも高速な公衆無線LANに力を入れたほうが得策だからです。公衆無線LANを使ってもらうように誘導したほうが回線への負担を下げられるし、同時にユーザーを高速通信で喜ばせられる。しかも、地域広告など新しいビジネスモデルの構築も見えてくる。

 これはかなり前に「MACPOWER」という雑誌で書いたことがある話ですが、まだYahoo! BBのADSLモデムを持っている人が結構いるなら、例えば月額利用料金を減らすから、その代わりあなたの家のモデムを公衆無線LANとしても使わせてくれという交渉ができなくもない。ソフトバンクグループにはそうした強みもあります。


── ほかのケータイ事業者も、関連会社に公衆無線LANサービスを持っていますが……。

 といってもグループ間でほとんど連携が取れておらず、足並みが揃っていない状態ですよね。孫さんなら、ソフトバンクグループをうまく統率して、動かせるでしょう。これがトップの顔がほとんど見えない企業と、はっきり見えている企業の差だと思います。

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