巨大地下建造物が水害から市民を守っている
埼玉県東部に位置する中川と綾瀬川流域は、昔から大雨による水害に悩まされてきた。荒川、利根川、江戸川に囲まれたお盆のような地形になっていることと、1965年以降からの急激な都市化によって、田畑など雨水を溜め込める場所が減ったことで、大雨のたびに浸水する地域になってしまっていた。そこで、対策として地域を流れる中小河川の水を江戸川に流し込む放水路建設の計画が持ち上がり、建設されたのが首都圏外郭放水路なのだ。
首都圏外郭放水路は、調圧水槽の他に中小河川の水を施設に流し込む「立坑」と、立坑同士をつなぐ「トンネル(水路)」などの施設などがある。
建設成功を示す成果
首都圏外郭放水路は確実に成果を上げているようだ。2002年から今年2008年6月までのデータだが、44回の洪水調節を行っている。これにより浸水被害も格段に減っているという。首都圏外郭放水路稼動以前、2000年7月は、台風によって、雨量159㎜を記録し、浸水面積1.14k㎡、浸水戸数236戸の被害が出た。それに対して、稼動した2004年10月の台風では、雨量が199㎜と雨量が多かったのに関わらず、浸水面積0.31k㎡、浸水戸数14戸と大幅に被害を縮小させている。
※見学会では、立坑やトンネル、ポンプの見学はできません。
(次ページ、「人の生死に関わる一大プロジェクトの苦労」へ続く)
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