プレーヤーは進化の余地あり
ビデオを視聴する「LISMO Player」は、もとはミュージックプレーヤーだった。ビデオ再生機能はあとから付け足されたため、その機能は必要最少限にとどまっている。
気に入ったシーンにしおりを付ける機能はなく、スロー再生やコマ送り、指定速度での倍速再生にも対応しない。可能なのは早送りや巻き戻し、レジュームやチャプター選択などきわめて基本的な機能のみだ。凝った見方をする人にはかなり物足りなく感じられるだろう。
カーソルキーの機能が画面の向きに連動しないのもいただけない。ワイドオープンスタイル時に音量の「上下」をカーソルキーの「左右」で調整するのは違和感がある。このあたりは本体ソフトのアップデートで改善できそうな気がするので、今後の進化に期待したい。
端末以外の「環境」に注意
いくつか問題もある。
クリアディスプレーのせいか激しい映り込みが気になった。蛍光灯はおろか、ときには自分の顔さえも画面に映り込んでしまう。が、多少見えにくくても本体の向きを変えるなどして、すぐさま最適なポジションを模索できるので、致命的欠陥とまでは言えないだろう。
パソコンの動作環境にも注意が必要だ。OS、メモリー、HDD空き容量以外にもCOPPやHDCPなどの著作権保護技術に対応していることが必須条件となる。目安としては、2~3年前のノートパソコンならOKだが、4~5年前のノートパソコンでは厳しいといったところだ。公式ソフトの「LISMO Videoチェックツール」を使えば、自分のパソコンにLISMO Videoをインストール可能かどうかを手軽にチェックできる。興味のある人はW62Hを購入する前にしっかりチェックしておいた方がいいだろう。
肝心のコンテンツに最新作が少ないのも残念だ。特に映画やドラマについては、公開から半年以上経ったものが最新作として紹介されているなど、リアルなレンタルビデオショップ(通常は3~4ヵ月後にレンタル開始)に負けていると言わざるを得ない。
また、再生期限がおおむね24時間~72時間と短いのも、正直しんどかった。例えば今回レンタルした映画「アイ・アム・レジェンド」の再生期限は24時間しかない。同じ作品のDVDを近所のレンタルショップで借りると、旧作扱いなので1週間じっくり観られる。古めの作品は価格を下げ、再生期限を延長するなどの措置があってもいいように思う。
確かにそうした問題はあるが、auが「じぶんシアター」と銘打っているだけあって、いつでも好きなときにケータイで映画を視聴できるというのは、これまでにない新鮮な映像体験であることは間違いない。ウォークマンがそうであったように、LISMO Videoもある意味、革命的と言える。テレビのように横置きできるワイドオープンスタイルと美しい有機ELディスプレーを搭載したW62Hは、そのための最適のツールだ。
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