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松村太郎の「デジタルとアナログの間」 第1回

松村太郎の「デジタルとアナログの間」

Micro Presence

2008年08月19日 18時00分更新

文● 松村太郎

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Micro Presenceの応用


モデリング

Micro Presenceを応用して、表面にリアルなテクスチャーを持った昆虫の内部構造まで把握できる3Dモデリングデータを作成できる

 撮影データにはピントの合致した位置に関する情報があるので、そのピントが合っているパーツの3次元座標データをとることができる。この情報を応用すれば3Dモデリングも実現可能だ。その研究しているのが、慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生で、STU研究所で小檜山氏と活動している森田正彦氏。

──CTスキャンのような輪切りの画像に「Micro Presence」の高精細画像を組み合わせると、表面の色つきのテクスチャーを持ったデータを作成できる。このデータは、バーチャルに観察や実験を行うことができるリアルな材料となる。例えば、歴史的価値のある発掘物などでも表面を持った輪切り画像が作れるので、そのものを壊すことなく内部構造を把握することができる(森田氏)。

3D
3D

表面のテクスチャーを再現可能な3Dデータを容易に作成できる。この技術は、バーチャルな環境での観察や実験の材料として利用可能だ

 このようにSTU研究所では、技術をコラボレーションさせながら、より実用的なバーチャル実験室を充実させていくという。  「Micro Presence」は現在、東京・初台にあるNTTインターコミュニケーションセンターに展示されている。また小檜山氏の著書、「虫をめぐるデジタルな冒険」(岩波書店刊)でも、その表現に触れることができる。夏、昆虫の活動も活発になる季節に、自然の中でデジタルについて考えてみるのも、いいかもしれない。


ゲスト紹介


プロフィール

小檜山賢二(左)
工学博士。NTTワイヤレス研究所でPHSの開発に携わる。その後'08年3月まで慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授として教鞭を執る。現在は「STU研究所」を開設し、大学にいるころからの研究テーマであった「Micro Presence」に取り組む

森田正彦(右)
慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生。STU研究所で小檜山氏と活動する



(MacPeople 2008年8月号より転載)


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