優勝チームはどこが評価されたのか?
ソフトウェアデザイン部門で優勝したのは、ここ数年、大干ばつに直面しているオーストラリアの代表「SOAK」が提案した農業用水を効率的に管理するソリューションだ。第2ラウンドを通過したのはオーストラリア、ブラジル、中国、ハンガリー、ポルトガル、スロバキアの6カ国で、「環境」という抽象的なテーマを「水の効率的な管理」「無駄な電力の管理」「環境汚染対策」など、より具体的な課題に落とし込むところまでは、ファイナルラウンドに進めなかったチームも同様だ。ファイナルラウンドに残れるかどうかは、20分という限られた発表時間内に、問題に対してどういう技術を利用し、どう解決するかをどれだけ明確に示せるかで決まったように思える。
ソフトウェアデザイン部門には、問題定義や整合性、革新性、ユーザーエクスペリエンス、機能の完成度など、10項目の審査基準がある。プレゼンテーションでは作品制作の背景と経緯、なぜ提議する問題が意味のあるものなのか、システムの利点・特徴などを説明することになるが、「作品を引き立たせるデモ、審査員からの質疑応答の内容なども審査の対象になる」という。10項目の審査基準の配点は10%ずつとされているが、大会に何年も携わってきたマイクロソフト関係者によると、審査員は、ほぼすべての情報をプレゼンテーションから得ることになるので、プレゼンの出来が結果を大きく左右するようだ。
審査員の1人で、マイクロソフトリサーチインディアの外山健太郎副所長は、参加者が大学生である点を考慮し、「アイデアがちゃんとできているか、技術的にソフトとしてちゃんと働くか、最後に多少、ビジネス化できるかも見ていた」と明かす。とはいえ「私以外の審査員はビジネス化の実現性に関しても質問していたようです」というから、学生の提案といっても、「ビジネス」を強く意識させる提案が審査員の高評価につながるようだ。
※後編「慶応大生、24時間ぶっ通しで問題を解く」はこちら