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桜子のビジネスリーダーズインタビュー 第2回

IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー

高校野球のWeb的楽しみ方を生んだasahi.com

2008年08月06日 04時00分更新

文● 桜子(Interviewer&blogger)

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無敵の高校野球データベースとは?

 これらは昨年着手し、今年完成された高校野球のデータベースに紐づいているという。高校野球の主催は朝日新聞社だ。だが、報道は他紙でもされる。他社に負けない核となるものは何か、そこで高校野球のデータベースが整備され、今年から本格的に始動する。

 洲巻氏

「もともと高校野球を見るのが好きで、インターネットがない頃は紙面で地方大会を見るのが楽しみだったんです」

洲巻 もともと高校野球を見るのが好きで、インターネットがない頃は紙面で地方大会を見るのが楽しみだったんです。新聞のスポーツ面を開いて、北海道から沖縄までの情報を1時間位かけて見て、頭の中のデータベースに入れていく。自分のポイントになる学校が幾つかあって、最近では学校をわざわざ見に行くんです

桜子 え!? なぜ?

洲巻 どんな場所にあって、どこで練習をしているのかとか思うんですよね(笑)。例えば、新聞に対戦校A校が載るけど、読者は学校名しか分からない。去年のA校はどうだったのかその場ではわからない、という状況を何とかしたいなと僕自身思い、昨年データベース化したんです。少なくとも今地方大会に出ている学校が、過去甲子園に出た履歴があれば、学校別の静的ページが出てくる。長い歴史の中で学校名が変わることもあるから難しい作業もあるんですが

 なにしろ第1回目の情報を知る人も少ない中、なかなか手がつけられなかった。それが遂に整備された。

スポーツデータのコンテンツとしてのポテンシャル

洲巻 頑張ればデータベースって誰でも作れると思うんですけど、そこに価値があるのではなくて90年継続した老舗の暖簾の重さというか、それを利用しつつ、新しい見せ方を出来るのが面白いなと思いますね。情報ソース自体は変わっていないのに情報の切り取り方をその人なりにすることを推進しています

桜子 データの入力は誰が担う?

洲巻 今の地方大会は全国の朝日新聞総局が行なっていますね

桜子 投資もずいぶんかかったと思いますが

洲巻 そうですね、ビジネス=利益ということではなく社業という位置づけもあります。朝日新聞社のために、というのではなく、高校野球全体として考えれば結果的に出来て良かったと思うんですね。年史など本を読むしか紐解けなかったものが、デジタルの力を使って効率良く、自分の興味あることや地域または時系列という切り口の中で情報を切り出せる。それが面白いし、今後我々が高校野球報道で行なっていく情報と情報、情報とネット利用者のマッチングのさせ方だと思うんです

 かつて自身が新聞を見て、頭の中で過去の情報と最新情報をマッチングさせて試合を楽しんだように、ネット利用者に対しても、学校に紐づいた情報を提供し、利便性を高めたい。周辺情報が集まれば集まるほど、エンターテインメント性は高まるだろう。

洲巻 インターネットは情報をグローバルにするパワーを持っています。昔からちょっとした工夫で大きな力を生み出す仕組みを構築するのが好きなんですね。てこの原理みたいに、不便なことをちょっと何か工夫すると便利になるとか

 高校野球の地方大会はまだまだ未開拓の部分がたくさんあるという。アナログの塊をどう味付けし、その面白さを世の中に伝えていくか。この歴史ある情報ソースのデータベースは、今後の高校野球をより一層支えていく貴重な核となるであろう。「現在、仕事ではやりたいことをやれている環境。ネットや携帯の利点を生かし、高校野球をもっと面白くしていきたい」洲巻氏は語った。

洲巻圭介氏のプロフィール(Keisuke Sumaki)

洲巻氏写真

1974年生まれ。明治大学政治経済学部卒業後、1996年日本出版販売株式会社に入社。株式会社ブッキング、楽天ブックス株式会社の設立など新規事業の立ち上げに携わり、2001年に朝日新聞社に移る。主にニュースサイト アサヒ・コムにおけるスポーツコンテンツの編集・企画を担当。



桜子のプロフィール(Sakurako/Cherry)

Interviewer&blogger 広告代理店・IT系企業を経て通信会社に勤務。5年前に 桜子の部屋・お友達の輪というビジネスリーダーズインタビューを単独で開始。07年シリコンバレーで活躍する日本人を取材に行く。日本人・外国人を含めた約50名ほどのインタビューを過去に実施。(http://sakurako.cc/


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