同じようで違う顔を持った2つのAtom
AtomにはNシリーズとZシリーズの2種類があり、それぞれ方向性が若干異なる。一言で言うなら、NシリーズはEeePCのような低価格パソコン(Netbook/Nettop)向け、ZシリーズはWILLCOM D4のような、やや高級だが超小型の端末(MID)向けとなる。
下の表が現状のAtomラインナップをまとめたものだ。
Zシリーズ | ||||
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プロセッサナンバー | クロック周波数 | FSB | TDP (HTオン時) | Hyper-Threading |
Z540 | 1.86GHz | 533MHz | 2.4W (2.6W) | ○ |
Z530 | 1.60GHz | 533MHz | 2.0W (2.2W) | ○ |
Z520 | 1.33GHz | 533MHz | 2.0W (2.2W) | ○ |
Z510 | 1.10GHz | 400MHz | 2.0W | ― |
Z500 | 800MHz | 400MHz | 0.65W | ― |
Nシリーズ | ||||
N270 | 1.60GHz | 533MHz | 2.5W | ○ |
チップセットの違いにも注意!
また、ZシリーズとNシリーズでは、組み合わせるチップセットも違う。Zシリーズは最新の専用統合チップセット「SCH」(System Controller Hub)を使うが、Nシリーズは旧世代のチップセット「Intel 945GC Express」や「SIS617+968」などを使う。
Nシリーズのチップセットは、古いぶん機能や性能でSCHに見劣りするが、そのぶんコストを低く抑えられる。一方、ZシリーズのSCHはコストは高いが、サイズが小さいので端末を小型化しやすい。前述のC6ステートもサポートしているので消費電力も低い。何よりグラフィックス機能が強化されているのが特徴だ。
SCHのラインナップ | |||||
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名称 | 外部GPU | ビデオ再生支援 | メモリー | GPUクロック | TDP |
US15W | ○ | HD | DDR2-533/400 (最大1GB) |
200MHz | 2.3W |
US15L | ○ | HD | DDR2-533/400 (最大1GB) |
200MHz | 2.3W |
US11L | × | SD | DDR2-400 (最大512MB) |
100MHz | 1.6W |
SCHの内蔵グラフィックス「Intel GMA 500」には、H.264/VC-1(WMV9)/MPEG-2/MPEG-4など、メジャーな動画コーデックをハードウェアデコードする動画再生支援機能が搭載されている。つまり、MIDのような超小型端末でもHD画質の動画が再生可能なのだ。
その代わり、チップセットの制限でSCHはメモリーを最大1GBまでしか搭載できない。Nシリーズと組み合わせるチップセットは最大4GB(2スロット)までのメモリーに対応している。Atomがいくら高性能でも、Windows Vistaでメモリー1GBは少々辛いので注意したい。
以上を踏まえて、次ページではAtom搭載マシンを見てみよう。前述の通り、ZシリーズとNシリーズとでは製品の傾向が違うし、製品によって使用するシーンが違ってくる。自分の目的を踏まえた上で検討するといいだろう。