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モバイルノートの新時代を開く渾身の意欲作

APR: MacBook Air

2008年07月30日 18時00分更新

文● 今井 隆、柴田文彦、MacPeople編集部

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3. Performance


やや安定性に欠けるAirのパフォーマンス

 ベンチマークテストでは、MacBook Airの1.6GHzのハードディスクモデル、1.8GHzのSSDモデル、旧MacBookの2.2GHz、同じくProの2.4GHz 15インチ──という4モデルを使い、各種アプリケーション処理を比較した。

 各マシンのCPUはいずれもCore 2 Duoで、クロック周波数は順に1.6/1.8/2.2/2.4GHz。MacBookと同Proは1世代前のモデルだ。共有2次キャッシュの容量はいずれも4MB、フロントサイドバスも800MHzで共通。従ってCPU性能の違いは、ほぼクロック周波数だけに影響を受ける。

 GPUは、AirとMacBookはチップセット内蔵の「Intel GMA X3100」、Proは独立したGPU「NVIDIA GeForce 8600GT」を搭載。さらに内蔵ディスクは、MacBookは120GB、Proは160GB、Airの1.6GHzモデルは80GBのハードディスクを、1.8GHzモデルは64GBのSSDだ。

 ベンチ結果を見ると、CPUやGPU性能に対してやや意外なものもある。要因は、共通するアーキテクチャーを差し引いて考えると、ハードディスクとSSDの違いと考えざるを得ない。ただし、「ファイルコピー」や「フォルダーコピー」のように、Finderからファイル単位でディスクにアクセスしている限りハードディスクとSSDの性能差は、むしろ意外なほど小さいのも事実だ。

MacBook Air

サイズが1GBのファイルを起動ディスク上で複製する時間を計測。主にハードディスク(SSD)の連続データ転送性能を評価。CPU性能とは直接関係ないが、CPUのクロック周波数で2割以上勝るMacBookと比較して1割弱しか劣らないAirの性能はむしろ立派と考えるべきだろう

MacBook Air

中身の合計サイズが1GBのフォルダーを起動ディスク上で複製するのにかかった時間を計測。Finderのファイル処理性能も含めたハードディスク(SSD)データ転送、およびランダムアクセス性能を評価。AirのSSDは手堅い性能を発揮している

 CPU性能の違いが順当に表れているテストは、「iTunes AACエンコード」と「Adobe Photoshop CS3アクション」。それに対して、MacBookとAirでCPUクロック周波数と結果が逆転しているテストは、「DOOM 3」フレームレートと「Adobe Photoshop CS3 スクロール」だ。

MacBook Air

演奏時間が約40分のAIFFファイル(392.7MB)を128kbpsのAACフォーマットにエンコードするのにかかった時間を計測。条件が同じ場合は、素直にCPU性能が表れるテスト。2次キャッシュメモリーの容量も4MBで同一だが、Air 1.8GHzはクロック周波数を考えるとやや遅い

MacBook Air

3Dアニメーションを駆使したゲームソフト「DOOM 3」を使用して、付属のデモ画面を連続再生する際のフレームレートを計測。条件が同等ならば、素直にGPU性能が表れるテスト。独立したGPUを内蔵するProは別格だが、チップセット内蔵の同一GPUのAirとMacBookはほぼ同じ値だ

MacBook Air

縦14400×横640ドットの縦長の画像を、上端から下端までスクロールするのにかかった時間を計測。Proはさすがに速いが、チップセット内蔵GPUを装備する3機種との差は3Dグラフィックほどではない。ここでもGPUの条件が同じのAirとMacBookの性能がほぼ並んでいる

MacBook Air

さまざまなフィルターを組み合わせて構成したアクションによる画像処理の実行時間を計測。CPU性能の影響が大きいが、仮想メモリーへのアクセスも頻繁なので、ディスク性能も影響する。いずれも結果は、CPUクロック周波数順に並んだが、比例するほどの差はない

 さらに、CPUクロック周波数以上の性能差が現れたのが「CINEBENCH-CPU」と「CINEBENCH-GPU」。GPUが同一であることを考えると、ソフトからディスクへのアクセス方法の違いによってハードディスクとSSDで得手不得手があると考えられる。

MacBook Air

3Dレンダリングのベンチマークソフト「CINEBENCH」を使ったCPUによる3Dグラフィック処理の性能指数を計測。本来ならばCPU性能が出るテスト。MacBookとProの差は10%程度で、CPUクロック周波数の差にほぼ一致する。Airだけが大きく落ち込む結果だ

MacBook Air

3Dレンダリングのベンチマークソフト「CINEBENCH」を使って、主にGPUによる3Dグラフィック処理の性能指数を計測。DOOM 3のテストほどではないが、内蔵GPUと独立GPUの差は大きい。CPUのテストほどではないが、AirはMacBookに比べてやや落ち込んでいる

 「バッテリー性能」は、MacBookの持続時間の長さが目立っている。GPUの処理を必要としない用途では、CPUのクロック周波数も高すぎず、マシンのバランスが優れていると評価できる。Airの消費電力に関しては、SSDの採用によりMacBookよりも少ないはずだが、薄さを重視したため、バッテリー容量そのものが小さいので、持続時間は短い。薄さかバッテリーの持続時間かどちらを選ぶかによって評価が分かれるだろう。

MacBook Air

バッテリーをフル充電した状態から電源アダプターを外し、DVDビデオを連続再生して、強制的にスリープ状態となるまでの時間を計測。SSDなど省消費電力の部品を使用しているにもかかわらず、Airは2時間強しか持たずMacBookはもちろん、Proにも劣る結果

【テスト条件】●マシンのシステムはMac OS X10.5.1、メモリーは各機種の標準容量で計測 ●グラフの値は、それぞれのテストを3回行って算出した平均値 ●グラフの数値は、MacBook Airを100としたときの相対値(カッコ内は実測値)。いずれもグラフのバーが長いほどパフォーマンスが高いことを意味する


(次ページに続く)

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