温度と消費電力
最後に温度と消費電力を見てみよう。GPU温度はHWMonitor 1.10を使用し、消費電力はワットチェッカーを使用して計測している。計測はアイドル時(EIST有効)はWindowsが起動してから30分放置した時点、高負荷時は3DMark06のFeatureテストからPixcel Shaderテストを連続して25回実行し最も高い値を抜き出している。
まずは温度だが、アイドル時にもっとも高かったのはHD4870。ATI PowerPlayが働いてないような感じで、もしかすると使用した個体の問題という可能性もある。そして高負荷になると、いずれのビデオカードも80℃を越え、横並びとなった。ただGTX260と55nmプロセスになった9800GTX+は一段低い温度となっている。
次に消費電力だが、アイドル時はどれも横並びになっているもののHD4870だけやや高く、これはGPU温度とも一致している。さて高負荷になるとGTX280は、他が300W前後なのに対し、400Wに迫る消費電力を記録。GTX280は性能も高いが消費電力も段違いに高い。逆にものすごく消費電力が低いのはHD4850だ。
今回テストした中でHD4850だけが唯一1スロットタイプのGPUクーラーで、これが災いしてか、消費電力の割りに温度が高いという結果を招いている。このあたりは、今後発売されるであろう、ビデオカードベンダーのオリジナルGPUクーラーモデルに期待したいところだ。また騒音レベルでは筆者の主観となるが、HD4870がもっともうるさく、続いて9800GTX、HD4850、GTX280の順となりGTX260と9800GTX+が最もこの中では静かだった。以前のATI Radeon、GeForceともにリファレンス仕様での2スロットGPUクーラーは騒音が大きく、正直、普通に使うにはやや敬遠したくなるような製品が多かったのだが、最近の製品はかなりファン騒音が改善されており、一番うるさいHD4870でも過去の製品に比べれば遥かに静かになっている。
コストパフォーマンスか、絶対的なパフォーマンスか。
今回テストしたゲームタイトルはいずれもNVIDIA支援を受けたものであるため、ATI Radeonシリーズに不利な点は否めないものの、ゲームを購入する側から見れば、速く動くものが正義なのである。現在リリースされているDirectX 9あるいはDirectX 10に対応する3Dゲームの多くはNVIDIAの支援を受けており、ATI Radeonに不利であることに変わりない。しかし、その状況下にも関わらず、今回のテストのようにHD4850/4870は、NVIDIAの同価格帯製品並み、あるいは凌駕するパフォーマンスを見せており、ゲームプレイをする上でのハンデは無いと言える。
ではどの製品がベストバイとなるのだろうか。3万円未満となるHD4850、9800GTX、9800GTX+の中で選ぶとすれば、55nmプロセスとなった9800GTX+がもっともバランスが取れているし、消費電力や静音性の点でも他の2製品に対してアドバンテージがある。しかし最も安価なHD4850はハイエンドと比べると見劣りするものの、比較対象がミドルレンジ製品ならトップクラスになるのは言うまでもなく、また価格も安定して購入しやすい点が魅力だ。先にも触れたが、HD4850の唯一の弱点はGPUクーラーであるため、オリジナルのGPUクーラーを搭載する静音モデルの登場を待つというのもアリだろう。
そして3万円を超えるHD4870、GTX260、GTX280だが、GTX280は今のところ価格も6万円前後と高価であり、コストパフォーマンスの面では不利。しかし絶対的なパフォーマンスでは揺るがないスコアを残しているため、性能第一で考えるならGTX280を選ぶべきだ。
6万円は手が出ないけど、3万円半ばまで予算を出せるというのなら、GTX 260がオススメだ。ただし価格差次第では、HD4870の方がコストパフォーマンスに優れる場合もあり、選択が難しいところでもある。特に3DMark06で見せるHD4870のスコアは非常に高く、ゲームによってはGTX 280に迫れる可能性も秘めている。
少々強引だが、私見としてざっくばらんに性能に順序を付けると、
HD4850≦9800GTX<9800GTX+≦HD4870≦GTX260<GTX280
といった感じだろうか。あとは予算(財布)と自分の求めるスペックの妥協点を探してみてほしい。
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