中古LDがアニメファンをアキバに集める
1980年代も半ばに入ると、電話回線を使ったパソコン通信が広がりを見せる。転送速度は、300〜1200bpsと腹が立つほど遅い! 同時にPC-8800シリーズも全盛期だった。
当時のアキバは、ビジネスでPC-9800シリーズを買いに来る人と、ホビーでPC-8800シリーズを買いに来る人でごった返していた。といっても一般的には、VHSのビデオデッキが目的のファミリー層やCDウォークマンを求める人のほうが大多数だったように思える。
が、アニメファンが集まりだす布石もそこにはあった。毎週のアニメを録画するために安価なS-VHSテープを大量に買いに来る者、続々とリリースされるアニメのレーザーディスクタイトルを中古LD店に売買しに来る者、18禁アニメの「くりいむレモン」シリーズを買いに来る者。これらの魑魅魍魎だ(笑)。
これらのマニアを融合させ始めたのが「美少女ゲー」だ。それまでの美少女ゲーは、絵も汚く劇画タッチでとても実用に耐えるものじゃなかったが、18禁アニメ文化の影響もあってか、可愛いアニメ絵の女の子が登場する美少女ゲーが出てきたのである!
やはり「くりいむレモン」と同様に、全国各地のパソコンショップで売ってるわけもなく、「アキバに行けば、あの美少女ゲーが買えるはず!」という人々も街に集まるようになる。
またパソコン通信の普及で、掲示板で情報を共有したり、チャットで情報交換したりといった具合にクチコミが広がりやすくなった。
さて、1986年頃の筆者と言えば、予備校に通うものの授業ではアセンブラのコードを書き、家に帰ってパソコンに打ち込んでデバッグという日々。
ついにはパソコン通信の仲間と同人誌や同人ソフトの製作をしよう!という話になり、コミケデビューだ。
かなりイイ感じでダメに転がり始めた。
筆者のアキバとは、コミケの数週間前にラジオ会館におもむいて、数百枚の5インチフロッピーを買い付ける場所だった。さらに美少女ゲーの購入費を捻出するために、今はなきロケットのパソコン売り場でバイトをしていた。