開発者にうれしい「Opera 9.5」――スマートフォンのデバッグもできる「Dragonfly」
ライブの後は、いよいよメインプログラムとなるWeb制作関連セミナーだ。
トップは、Opera Softwareの市川恵貴氏と上廣 剛氏によるセミナー。リリースされたばかりのOpera 9.5の新機能「Dragonfly」を中心に、Operaの魅力を紹介した。
Opera 9.5に搭載されたデバッグツール「Dragonfly」
DragonflyはFirefoxの「Firebug」に相当するWeb開発者向けのデバッグツール。Operaブラウザに表示しているWebページのCSSやJavaScriptを読み込み、実行結果を見ながらソースコードをデバッグできる。
注目は、スマートフォン（Windows Mobile端末）向けWebサイトを制作するのに便利な「リモートデバッグ」機能。ActiveSyncでスマートフォンとPCを同期させ、スマートフォン側で表示を確認しながらPC側でデバッグできる。Operaは異なる端末やOSからでも同じWebサイトを利用できるべきであるという「One Web」コンセプトを掲げており、リモートデバッグはOne Webを象徴する機能といえる。
RIAは「どちらが適しているか」で選ぶ――セカンドファクトリー 新谷氏
セカンドファクトリー 新谷剛史氏
続くセッションでは、セカンドファクトリーの新谷剛史氏が登壇し、マイクロソフトのRIA（リッチ・インターネット・アプリケーション）技術「Silverlight」について解説した。
Flash対抗として注目を集めるSilverlgihtだが、新谷氏は「エンドユーザーが意識するのは、最初にプラグインをインストールする瞬間だけ。あとは、“ブラウザの中で起こっている何か”でしかない。『どちらが良いか』ではなく、『どちらが適しているか』を考えて使い分けることが重要だ」と説く。
たとえば、アニメーションのような表現であればFlash、WebアプリケーションのUIのように「プログラマーとデザイナーの協業が必要な領域」（新谷氏）ではSilverlightが適しているという。
Flash 10の3D機能に歓声――アドビ システムズ 西村氏
アドビ システムズ 西村真里子氏
ラストを飾ったのは、アドビ システムズ クリエイティブソリューション部 Webグループ フィールドマーケティングマネージャーの西村真里子氏で、アドビのRIA技術「Adobe AIR」について紹介した。
デスクトップアプリケーションの実行環境であるAIRは、FlashやJavaScript、HTMLといった既存のWeb技術を用いており、Web開発者が自身のスキルを生かしてデスクトップアプリの開発に参入できるメリットがある。西村氏は簡単なデモを通じて実際の開発手順を紹介し、Flex／Dreamweaver／Flashといった、既存の環境を利用して開発できる点をアピールした。
また、現在ベータ版が公開されている「Flash Player 10」の紹介もあった。Flash 10では縦書きなど日本語組版の機能が強化されるほか、Photoshopのようにカスタムの画像エフェクト／フィルタを作成・適用したり、3Dエフェクトを利用できるようになる。商品画像が3D回転するECサイトのサンプルが紹介されると、参加者からは「おーっ」と大きな歓声が上がった。
★
こうしてすべてのセミナーが終わったのは夜9時半のこと。セミナー終了後にはスイカと花火が配られ、浜辺は花火を楽しむ参加者らで盛り上がった。
WOBは果たしてセミナーなのか？ それとも業界交流会なのか？ というと正直ちょっと判断に迷うが、5000円の参加費（男性の場合）で美味しいものを食べ、ビールをたらふく飲み、ライブやセミナーも聞けるのだからお得なことには違いない。お目当てが海の人も、ビールの人も、もちろん情報収集の人も、それぞれが満足できたイベントに見えた。CSS Niteはさまざまなイベントを開催しているので、今回参加できなかった方も次の機会をチェックしてみるといいだろう。
