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ジェネラルパーパス・テクノロジー(後編)

大企業の消滅で、日本は生き残れる──野口悠紀雄が語る

2008年07月22日 11時00分更新

文● 遠藤諭、語り●野口悠紀雄、撮影●パシャ

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円安で景気はまた復活するが、本質的な変化ではない


── 本の中で、国税庁と総務省の統計局はかなりいいと書かれています。そこは、なぜいいんですか? そこから希望を持つことに繋げるのは難しいのですか?

円安の構造が、去年の夏に壊れ、日本の産業構造が抱えている基本的な問題が顕在化した

野口 国税庁は、日本の役所の中では、もともとかなりレベルが高い。能力も高いし、モラルも高い。国税庁の人間は、専門家としてのプライドを持っている。だから、私は、国税庁が財務省の支配を逃れたら、大変よい役所になると考えています。日本の中央政府の改革で最も必要なのは、国税庁を財務省から切り離すことです。金融を切り離すことではない。国税庁はもともと優秀、そして税務は、もともと情報処理。だから、国税庁の電子政府がよいのは、当然でしょうね。

── たとえば、国税庁のホームページは、確定申告書を作る手助けがありますね。

野口 あのフォーマットで確定申告書の作成が簡単にできる。それを必ずしも電子申告する必要はありません。ローテク電子政府ですが、ローテクでもよいという発想は、非常に重要と思います。ローテクでも、計算したり、掛け算したり、転記したり、それらを間違えなくできる手助けになれば、それだけで十分意味がある。

── 総務省の統計局がよい理由は?

野口 特に便利なのは、他の省庁が作った統計を見やすく整理している点です。

── 日本経済は、いまどっちに向かっているのですか?

野口 去年の夏以降、日本経済はきわめて危機的な状況に落ち込んできました。2005年以降、日本は景気回復したと言われてきましたが、それは、企業の構造が変わったからではなく、単に円安によって助けられただけだったのですね。円安によって、輸出産業の利益が増えただけだった。その円安の構造が、去年の夏に壊れた。これは、日本の産業構造が抱えている基本的な問題を暴露したわけですね。2003年ごろ、危機意識が高まれば日本社会も徐々に変わっていくのかと希望を持ちましたが、結局日本経済は変わらなかった。

── 「円安バブル崩壊」を読んでいるともう引き返せない。

野口 ただ、いくつかの不確定要因はあります。ヨーロッパは金利を上げましたが、アメリカも上げれば、円安が復活する。そうなれば、「いつか来た道」に戻ってしまう。日本経済は見かけ上は良くなります。ただし、日本経済の基本的な構造はそのまま温存されてしまうことになります。

── ジェネラルパーパス・テクノロジー(GPT)の議論からすると、あまり本質的な日本経済の復活ではありませんね。

野口 まったく本質的ではありません。

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