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ジェネラルパーパス・テクノロジー(中編)

ITを使えない日本は、ソ連のように崩壊する──野口悠紀雄が語る

2008年07月17日 11時00分更新

文● 遠藤諭、語り●野口悠紀雄

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光ファイバーよりもレガシー脱却を


野口 日本の金融システムについて言えば、たまたま同時期にバブル崩壊があり、巨額の不良債権が発生した。それが、システム投資に抑制的に働いたのは、間違いないでしょうね。

── しかも、システムはどんどん巨大化していく。もともと、日本は総合銀行なのでシステム自体がアメリカなどに比べて大きいと言われていたのに、どんどん付け足して肥大していく。しかも、古いシステムを残したままオープン系でどんどん増える開発案件に答えていった。三菱東京UFJ銀行が、3000億円をかけてシステム統合をやっていますが、これは、大変な作業だと思うのですよ。おそるおそる壊れないように斜めに切って繋ぐようなことをやっているわけですからね。

 それは、どこかでスパンと切って作り直すか、戦略的に乗り換えていくか、そういうことをかなり前からやらなければならなかった。その意味では、それは技術的な問題でもあるのですよ。

 古いシステムを「レガシー・システム」と言って、いまの技術や環境に適応したシステムを「モダン・システム」と言ったりします。そして、古いシステムから新しいシステムへ移行することを「レガシー・マイグレーション」と言います。このレガシー・マイグレーションが、アメリカの場合には、研究分野になっている。本も出ているし、論文もいろいろある。

 日本の場合は、それを技術的に乗り越える科学的なアプローチというのは話題にされているのでしょうか? 光ファイバー網を日本中にはりめぐらすのも良いことだし、CIOを設置しているかどうかを問うのもよいけれど、むしろ優先すべき課題はこちらかもしれない。もちろん、レガシーからの移行とか、レガシーを新しいコンピュータの上で動かすというようなことで食べている会社はあるのですが。こういう研究にこそ政府はもっとお金を使うべきではないですかね。

後編に続く

野口悠紀雄

 1940年東京生まれ。東京大学卒業後、1964年大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。東京大学教授などを経て、現在早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。主著に「バブルの経済学」「戦後日本経済史」「円安バブル崩壊」などがある。

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