最後に結論
入手後約2週間が経過した段階でのこのレンズ対する感想は「嘘が付けない素直なレンズ」だ。多用したくなるF1.4~2.8ではちょっとでも気を許すと微妙なピンボケ写真を量産してしまう。つまり、ピンボケなどあまり自覚したくない撮影者のミスが一目で分かってしまうレンズなのだ。
手持ちマクロ撮影の基本:絞らな過ぎに注意
大口径のボケを最大限に活かしたいなら、近接撮影限界ギリギリで撮る手持ちのマクロ撮影がオススメだ。しかし、被写界深度がとにかく浅いので、絞り開放のF1.4に設定すると立体的な被写体の場合は小さなモノであってもすべてピンぼけになってしまう。被写体や撮像素子面のちょっとした動きがピンぼけの原因となってしまう。そこでもし、うまく撮影できないのうなら1~2EVくらいならF値を絞ってみて欲しい。1~2EVくらいなら最短撮影距離付近での撮影ならボケに大きな影響はない。
ところで、EF50mmF1.8などのフットワークの軽いレンズも良いが、50mm F1.4 EX DG HSMの太めの径と大きめのフードと適度な重さもホールド感が良い。手持ちでどっしり構えて撮影するならこのレンズの方が良さそうだ。
50mm F1.4 EX DG HSMは、大口径レンズ特有のボケは強力だ。決して、安価な標準ズームでは味わうことのできない「被写界深度によるイメージの切り取り」ができる。しかし、もっとも評価したいの描写はピントの合っている部分だ。狙った所にピントが合っていれば、はっとするほどにクッキリとした描写になる。
また、初心者には「挑戦するレンズ」となり、上級者には「痒いところに手が届くレンズ」となると思われる。だが、決して「ねじ伏せて使いこなす暴れレンズ」ではないことは確かなので、ご安心されたい。特に、絞りを開けたときの被写界深度内の描写には見る人を選ばない素直さがある。