自動録画に自動チャプター。シンプルなのに機能は充実
現在発売中のBDレコーダーで、多機能・こだわり派と言えばやはりソニーだ。しかし三菱も負けてはいない。特に映像編集機能に関しては、ソニーとほぼ同等の実力を備えている。
最もありがたいのが、自動でCMと本編をチャプター分割する「オートカットi」。これは、録画時に本編とCMの切り替わりを検出し、チャプター分割を行なうものだ。しかも自動でプレイリストも作成してくれるので、余計な操作をせずに本編、またはCMだけを連続的に再生できる。
CM検出の精度はかなり優秀だが、やはり確認やちょっとした修正は必要。それでもBDなどへのダビングをよく行なう人には非常にありがたい機能だ。設定メニューから一度設定を済ませてしまえば、いつも自動的にチャプター化を行なってくれる。
このほかにも、ユーザーの嗜好を学習して自動で番組を録画する「おすすめ自動録画」や「ダイジェスト再生」、「楽曲再生」といった短時間で番組を視聴できる機能も備えている。
ただし、こうした機能を使うためには前述の「液晶グット楽リモコン」ではなく、標準のリモコンを使う必要がある。使い慣れていないと煩雑さ感じる部分だが、快適なテレビ視聴のための機能という点ではメリットの方が大きいだろう。
画質・音質にもしっかりとこだわった作り
HDD/DVDレコーダーの実績が今ひとつ奮わなかったせいか、どうも一般の人は「三菱のレコーダー」に関しては疑問符がついてしまうのが著者としてはかなり残念な点だ。
三菱のS-VHSビデオデッキと言えば、切れ味鋭い高解像度の映像が自慢で、熱心な愛好家も多かった。その画質・音質へのこだわりが本機ではしっかり復活している。個人的にはこれが何よりも嬉しかった点だ。
放送をそのまま録画するDRモードの画質は、ハイビジョン映像の高精細感を意識しており、かなり精密だ。反面、ソースによっては撮影時のノイズが目立ちやすくなるので、必要に応じてノイズリダクションを使う必要も出てくる。
逆に、長時間モードのMPEG-4 AVC録画では、ディテール再現をややソフトにし、見やすい映像にしているように感じられる。
この映像処理は、特にビットレートの低いAEモードではどうしてもノイズが発生するため、ある程度の高精細さを犠牲にしてでも見やすい映像にしているのが理由だろう。こうした配慮は実によく考えられている。
画質にこだわるAVマニアはDRモードで高精細な映像を楽しみ、より多くの番組を録り貯めたい人は見やすい映像で映像を楽しめるわけだ。
そして、音質面ではヘッドホンサラウンド機能がうれしい。これは同社のオーディオ機器ブランド「ダイヤトーン」の音響技術を採用したもので、効果もなかなかのものだ。
5.1chシステムと比べると音の広がりはややコンパクトになってしまうが、後方の音もしっかりと再現され、ヘッドホンとは思えないサラウンド音場が楽しめる。深夜の映画鑑賞などにはかなり役立つ機能と言える。
【まとめ】 カンタン操作で画質もGOOD! 「らくらくキレイ」な高級入門モデル
便利機能を豊富に搭載しながらも、「液晶グット楽リモコン」の採用で、日常的な基本操作を簡単に行えるようにした工夫がユニークで、初心者から多機能を求めるユーザーまで幅広く使えるモデルだ。そして、画質・音質といった面でもかつての三菱電機らしいこだわりをしっかりと感じさせてくれる。
総じて実力はかなり高く、先行する他社のモデルにも十分対抗できると思う。あえて言えば、操作メニューがややクラシックで、番組表や録画リストがやや見づらいところが気になった。「液晶グット楽リモコン」だけですべての操作が行なえるようにするなど、思い切った操作性の改善に期待したいところだ。
この連載の記事
-
第8回
AV
BDレコーダーカタログ2008夏 -
第6回
AV
個性で選ぶBDレコ、ソニー&パナソニック編 -
第5回
AV
BDレコーダー本命決戦!最終ラウンド【編集・操作編】 -
第4回
AV
BDレコーダー本命決戦!第2ラウンド【再生編】 -
第3回
AV
BDレコーダー本命決戦!第1ラウンド【録画編】 -
第2回
AV
BDレコーダー、10の疑問と5つの地雷 -
第1回
AV
BDレコーダー売り場に潜むポイントの罠 -
AV
むちゃ売れ!BDレコ購入指南 - この連載の一覧へ