IMEの慣れが日本人をケータイヘ導く
清水 だから、ケータイがもっと高速になれば、これだけでPCができるほとんどのことを、十分こなせるのではないでしょうか。アメリカには、進化したケータイというのがほとんどないと思います。僕も現地でケータイビジネスに携わっていましたけど、高機能なケータイに対する知識もないし、必要性もないんじゃないですかね?
高須賀 僕もいまのところ必要だと思いませんね。
清水 僕個人は、アメリカでも欧州でも、どこに行ってもケータイを使わなかったことはないんですけどね。通話はともかく、これでリアルタイムにネットにつながる。ほとんど日本にいるのと変わらないんです。これはスゴイことですよ。ケータイを持っている限り、どこに行っても日本人でいられるという(笑い)。そういう感覚ってまだアメリカでは薄いんじゃないですかね。
高須賀 だから需要に応えてサービスレベルに昇華するまでに至らないのかもね。
清水 英語のほうが文字が少ないから打ちやすいような気がするんですけど、実際のところ違うんです。日本語の場合、表音文字でかな漢字変換があるから、PCとケータイの入力コストはそれほど劇的には変わらないんですよね。短い文章ならケータイのほうが予測変換機能が充実しているから入力コストが低いくらいなんです。でも英語の場合、普通はそういうIMEを使っていませんよね。だからケータイで文字を入力するのが手間になる。
高須賀 うん。ケータイで文字を入力するのってとても面倒くさい。そうか、日本人は文字入力のときに一手間かけることに慣れてるんですね。
清水 そう。同じボタンを何度も押して文字を選びながら入力するのを嫌うんです。だからアメリカ人は、ケータイにもフルキーボードを欲しがる傾向にあるんです。iPhoneやBlackBerryがヒットしたのもそういう理由が一因だと思います。
【最終回へ続く】
「第弐回天下一カウボーイ大会」が8月に開催決定!
コンピュータを愛する者達の祭典「第弐回天下一カウボーイ大会」が昨年冬に引き続き、8月24日に開催される。本大会は、世に惑うコンピュータ・カウボーイ達を一同に集結させ、互いのスキルを競いあい、刺激し合い、高度な技に驚嘆する場の提供を目指している。清水亮氏と鈴木健氏(サルガッソー)のダブルMCのもと、基調講演には水口哲也氏(キューエンタテインメント)を迎え、小野和俊氏(アプレッソ)稲見昌彦氏(慶応大学)安倍吉俊氏(イラストレーター・漫画家)ら多士済々のロデオ披露、パネルディスカッションと盛り沢山。8月24日には「秋葉原UDXギャラリー」へ足を運んでみてはいかがだろうか? 入場券はチケットぴあにて発売中!
高須賀 宣(Toru Takasuka)
LUNARR,Inc. CEO
広島工業大学卒業後、松下電工へ入社。ネットワークエンジニアを経て、同社の社内ベンチャー制度によってヴィ・インターネットオペレーションズを設立。97年、同社を退社し、サイボウズ株式会社を設立。2000年8月東証マザーズ上場、2002年3月、東証2部へ上場を果たす。2005年に同社取締役を退任し、2006年米国オレゴン州ポートランドにLUNARR,Inc.を設立。
清水 亮(Ryo Shimizu)
株式会社ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO
電気通信大学在学中にマイクロソフトの次世代ゲーム機向けOS開発に携わる。98年に株式会社ドワンゴ入社、99年に同社の携帯電話事業を立ち上げる。2002年に退社し、DWANGO North Amerika.Inc コンテント開発担当副社長を経て2003年、ユビキタスエンターテインメントを設立。2005年、IPAによって天才プログラマー/スーパークリエイタとして認定される。
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