ケータイ用コンテンツをiPhoneに移植! サン電子の「上海」
お次は日本のメーカー、サン電子(株)の登場だ。同社がiPhone用に開発したソフトは、マージャン牌を使ったパズルゲームの名作「上海」。同社デジタルコンテンツ事業部の水野政司氏に話を聞いた。
——開発にはどのくらいの期間がかかりましたか?
水野「4月の下旬くらいから開発に着手しました。実際に開発に携わっているのは、社のプログラマー1人です」
——このソフトはiPhone用にいちから開発したものですか?
水野「もとは携帯電話用に作られたソフトを、iPhoneに移植しました。iPhoneは初めてのプラットフォームなので、最初は慣れないことが多く、戸惑いもありましたが、焦点を絞って掘り下げていくことで、スムーズに進むようになりました」
——なぜiPhone用アプリを開発することにしたのですか?
水野「いきなり世界市場に向けて勝負できるというのが、iPhone用アプリがいままでの携帯電話用コンテンツとは異なる最大の部分です。アップルがiPhone用ソフトの販路として、App Storeという仕組みを用意したのは、ソフト開発者にとって大きなチャンスです。パッケージを作ったり、営業担当を用意して販路を開拓するといった大変な作業をしなくても、ソフトを簡単に売ることができますから。コンテンツ事業者としてやっていくしかなかったソフトメーカーが、もう一度ソフトで勝負できる場所ととらえています。ハードの先進性だけでなく、ビジネスとしても新しい面白いプラットフォームが登場したととらえると、これまでソフト業界が幾度となく経験してきた時代の移り変わりの一場面が目の前に現れたのだと思います」
実際にiPod touchにインストールされた「上海」を遊んでみた。ゲームのルールは、同じ絵柄の牌を選んで消していき、全部の牌を消せれば一面クリアだ。ただし牌は下の図のとおり重なり合っているため、下のほうにある牌を消すには、まず上にある牌を消す必要がある。また、消せるのは、各層の周辺に位置する牌だけで、四方をほかの牌に囲まれた牌は消せない。
まず気づいたのが、「上海」とタッチパネルの相性の良さ。筆者はいままでパソコン版の上海、ゲームセンターの上海、携帯電話版の上海を遊んだことがあるが(この手のゲームが好きなんです、ハイ)、マウスはまあいいとして、ジョイスティックや十字キーを使う機器の場合は、離れた牌を選ぶときにカーソルの移動がけっこう大変だった。
その点、iPhoneやiPod touchなら、画面上の牌を指で直接タッチして選べるので操作がラク!
反応もキビキビしておりとても快適だ。牌の数が増える上級面では、指を2本使って画面の一部を拡大/縮小したり、サッとなぞってスクロールできるので、牌が小さくて選びにくいなんてこともない。iPhoneはもしかして史上最強の「上海」プラットフォームかも……!?
——気になるお値段は?
水野「まだ発表はできませんが、WWDC基調講演ですでに発表されている海外メーカーの価格を参考に、10ドル以下の価格にする予定です」
——今後の開発予定は?
水野「いまのところは、まず上海で様子見という感じで、次期作は決まっていませんが、携帯電話用に開発された、カジュアルゲームの移植版を出していきたいです」
iPhone 2.0によって世界に広がるソフト市場で、同社がどのような活躍を見せるか期待大だ。
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