松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第29回

そんなに高くない「iPhone 3G」

2台目は「ネットケータイ」で

　話を「2台目としてiPhoneを持つと高くなるか？」に戻すと、僕がX02NKを使い始めたとき、INFOBAR2もX02NKもパケット定額の上限まで使ってしまうと予想していたが、実際はINFOBAR2でのパケット通信料が減って、PCサイトやPCメールはX02NKで見るようになっていった。

　今までINFOBAR2では「ダブル定額」の上限である5900円程度まで使い込んでいたが、X02NKでネットを見るようになると、下限に近い2000円台に落ちてきた。INFOBAR2の料金プランを一番安い「プランSS」にしたうえで、X02NKでWホワイトのオプションを付けて通話料を低くすることによって、なんとか以前と同じ料金を維持し続けている。

　X02NKにスムーズに移行できたのは、「ケータイのPCサイトビューアー」よりも、初めからPCサイトを見ることを想定したX02NKのブラウザーのほうが表示の再現性も高いし、機能としても使いやすかったからだ。X02NKのPCメールをIMAPで受信できる利便性も、今では欠かせない^※。

^※　IMAPはサーバー上にメッセージを置いて管理するため、複数台のマシンでひとつのメールアドレスを使う用途に向いている。例えば、ケータイでどんなメッセージが来ているかチェックして、返事を出したり、不要なメールを消したりすると、あとでパソコンでメールをチェックした際、ケータイで行なった作業が反映（返事のメッセージが残っていたり、不要な受信メールが消えている）されている。

　iPhoneを2台目として持つと、こうした傾向はさらに強まると思われる。iPhoneのウェブブラウザーである「Safari」の快適さ、便利なアプリのラインアップ、そして普段使っているMacやPCとの親和性がより高まるとなると、なおさらiPhoneでネットを活用する時間は増えていって、元々持っていた「ケータイ」は、必要最低限のコミュニケーションとサービスのために使うようになりそうだ。

　過去にニューヨークでiPhoneを試したことは、上の話を確信させるに十分なユーザー体験を与えてくれた（関連記事）。これまで日本では得られなかった「iPhoneというネット体験」が、今とそう変わらない使用料で手に入るようになるのだから、「触れない手はない」と思うのだ。

ニューヨーク郊外にあるお菓子工場跡地に作られた広大なアートギャラリー「Dia：Beacon」のカフェにて。こんな緑に囲まれた中でも、iPhoneはネットに繋がり続ける

筆者紹介──松村太郎

ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員（訪問）。ライフスタイルとパーソナルメディア（ウェブ/モバイル）の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」（インプレスジャパン刊）。自身のブログはTAROSITE.NET。

■関連サイト

• iPhone
• ソフトバンクモバイル