松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第29回

そんなに高くない「iPhone 3G」

「二刀流」で分かった善し悪し

　ASCII.jpの記事で林信行さんが指摘しているように、今、日本でユーザー獲得競争が激化しているのは「2台目需要」だ（関連記事）。そう考えると、ソフトバンクは、メインのケータイ用にドコモやauからシェアを奪うのではなく、ウィルコムやイー・モバイルと2台目需要、ビジネス市場を戦う上での強力な武器を得たと見るほうが正解に近いだろう。

　ところで2台目のケータイとしてiPhoneを持つと、毎月の支払いは増えるのかどうか、気になる人もいるだろう。今、もしケータイ1台でケータイメールやウェブ、PCサイトビューアーやPCメールなどをフル活用して、毎月1万5000円前後を払っている人なら、もしかしたら2台目にiPhoneを導入してもあまりコストが変わらないかもしれない。

　現在、僕は個人用にauの「INFOBAR 2」、仕事用にソフトバンクの「X02NK」（Nokia N95）という2台体制でケータイ環境を整えている。

INFOBAR 2

X02NK

　デコメールやワンセグ、おサイフケータイ（モバイルSuica、ナナコ、ポイントカード各種）、大好きな気象情報サービス、SNSのケータイ向けサイトなどはINFOBAR 2でこなす。こちらはごく一般的なケータイの使い方だ。

　一方、X02NKは、仕事用の電話（Wホワイトで通話料が安い）、Macとのアドレス帳やスケジュール同期（BluetoothとiSyncで簡単）、PCのメール受信（IMAPで同期もばっちり）、Flickrへの写真の投稿、そしてウェブブラウジング（Flash以外は快適に閲覧できる）という用途で利用している。

　X02NKは無線LANを内蔵している。この25日には公衆無線LANサービス「WIRELESS GATE」（関連記事）が、X02NK用の接続ソフト「WirelessGate Connection for S60」をリリースして、マクドナルドなどでID、パスワードの入力なしにログインできるようになったため、ウェブブラウジングやメールチェックの快適度は上がり続けている。

　X02NKは、料金やネットワークサービスの点ではiPhoneとまるっきり同じで、違いがあるとすれば、X02NKのほうが使い勝手の面でちょっと今までのケータイっぽさを保っている程度だ。

　契約、用途、求める機能を2台に分けることによって、端末のチョイスも広がるし、不自由さもなくなる。これがケータイを2台に分けることの魅力だ。しかし一方で、情報へのアクセス、快適さに対するコストが増えるのも事実である。ここに価値を見いだせるかどうかが問題だ。