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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第29回

そんなに高くない「iPhone 3G」

2008年06月30日 16時30分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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既存の端末で同じことをするなら、そう変わらない


 しかし「2年間もしばられたくない」「料金プランが分かりにくい」「価格が高い」という条件は、はたしてiPhoneだけのものだろうか? 日本のほかのケータイと比べてみると、実はそう状況は変わらない。

 現在、ケータイを購入する場合、販売店はiPhoneと同じような「割引と契約期間の組み合わせ」を提案してくるはずだ。もちろん、買い方を選べる自由度は残されているが、初期費用の安さなどで割賦制度を選ぶユーザーは多い。

 料金が分かりにくいとの指摘だが、そもそも日本のケータイ事業者はiPhoneに限らず複雑な料金体系になっている。ソフトバンクにしてもiPhone向けに用意した専用のプランはひとつもなく、既存の新スーパーボーナス、ホワイトプラン、パケット放題フル、S!ベーシック、オプションパックなど、既存のものにならっている。

 高いという意見については、「パケット定額フル」への加入が必須になるという点がネックになっているのだろう。最初はパケット定額に申し込んでおいて、数ヵ月経った後、パケット通信をあまり使わないようだったら定額サービスを解約する、というやり方はiPhoneでは許されていない。「話題のiPhoneをちょっと試してみたかった」という人にとっては、運用コストがかかるかもしれない。ホワイトプランのみに加入して、データ通信は無線LANで済ませたかったという人も、価格に不満を感じるだろう。

 ただし、iPhoneと同じ用途を既存の端末で実現しようとすれば、似たような価格に落ち着く。例えばシャープ製のタッチパネル端末「921SH」を、iPhoneと同じ条件(新規契約、新スーパーボーナス24回分割払い、ホワイトプラン)で買うときには、端末代金として毎月1480円を2年間支払うことになる

 PCサイトを見たり、PCメールを送受信するために「パケットし放題」(PCサイトダイレクト、月額1029〜5985円)が、ケータイメールなどを使うために「S!ベーシックパック」(月額315円)が必要だ。つまり、パケットを上限まで使うヘビーユーザーであれば、これらにホワイトプランの基本料である980円を加えて、毎月7280円支払うことになる。

 921SHに対して支払う、2年分の端末代金と月額使用料を合計すると21万240円。一方、iPhone 3Gは8GBで19万7760円、16GBで20万9280円だ。決してiPhoneが特別高いわけではない。

 価格は「ソフトバンクオンラインショップ」のもの。

 もっともiPhoneを買うと、USIMカードが専用品になるのでiPhone以外の端末に差し替えられなくなる。そのため、(可能性は低いと思うが)iPhoneに飽きて、使っていた元の端末に戻るといったことは許されないのだ。古くから愛用していた「Vodafone」の赤いSIMカードを取られてしまうのも心残りだ。

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