exFATでは利用できない機能が多い
性能面では大きな差がなかったが、exFATとNTFSには大きな違いがある。exFATはNTFSが備える、ファイルの暗号化機能やボリュームの圧縮/拡張機能などを持たない。利用可能な容量をユーザーごとに指定するクォータ機能やファイルのアクセス権を設定することもできない。従来のFAT32のように、単純にファイルを読み書きするだけのシンプルな機能しかない。
さらに、exFATをサポートしていないOSでは使えない。exFATでフォーマットしたHDDを、SP1未適用のVistaやXPにつないでみても、「フォーマットされていません」というメッセージが出て、フォーマットを促されてしまう。「いいえ」をクリックして、プロパティなどを開いてみても、中のデータにアクセスすることはできない。
またVistaは、USB接続のリムーバブルメディアをキャッシュとして利用する「Windows ReadyBoost」機能(関連記事2)を備えているが、exFATでフォーマットしたリムーバブルメディアでは、この機能を利用できない。
今あえて導入する理由はないが……
機能面でも速度面でも、内蔵HDDをexFATにすることに、明確なアドバンテージはない。従来のOSとの互換性も(現状では)ないので、使えるシーンも限られる。
ゆくゆくはWindows 2000以降のOSもexFATに対応するらしいが、いつになるかは不明だ。内蔵HDDとしてはもちろん、リムーバブルメディアとしても、今あえてexFATを導入する理由は見つからない。当面は様子見が正解だろう。
しかし、FAT32がすでに限界にあるのは変わりなく、低スペックのデジタル家電でも使える大容量ボリュームと巨大ファイルに対応したファイルシステムが求められている現状に代わりはない。exFATはその問題に対する解決策になりうる技術であり、対応OSが広がることで、デジタル家電での採用も増えていくかもしれない。