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誰も知らないITの未来 第1回

LUNARR高須賀 宣 vs UEI清水 亮 ガチンコ放談 第1回

技術者社長が語る「プログラマはキツい?いや、楽しいでしょ!」

2008年06月30日 04時00分更新

文● 二瓶 朗

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アメリカ人と日本人の思考の違い


株式会社ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO 清水 亮さん

株式会社ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEO 清水 亮さん

高須賀 ところで、言語と思考は密接に結びついていると思うんですけど、アメリカ人と日本人は思考のレイヤーの組み方が違うと思うんですよ。
清水 考える順番が違うかもしれませんね。
高須賀 その違いが僕にとっても相手にとってもプラスになるんですよね。
清水 お互いに補完できる?
高須賀 補完できるし、お互いの刺激になるんですよ。
清水 どこが違いますか?
高須賀 簡単に言うと……白黒つけたがるってことですかね。例えば、数人のスタッフで何かアイデアを出し合うとします。あらかじめ考えてもらったアイデアを持ち寄って、みんなで発表するんです。普通ならそこでそれぞれのアイデアについてブレストが始まると思うじゃないですか。でも、投票が始まるんです。個々がいいと思ったものに「1位は3点、2位は2点、3位は1点」という感じで……
清水 民主主義じゃないですか(笑い)。
高須賀 いや僕は絶対におかしいと思って。それぞれのアイデアにいいところがあるんじゃないかと。立案者に、それぞれのアイデアの切り口というかいちばんのポイントを聞くだけでもおもしろいと思うじゃないですか。そんな切り口を聞くだけでも、そのアイデアの本質に近づくと思うんですよ。
清水 日本人的な考え方かもしれませんね(笑い)。
高須賀 確かに投票制だと早く決まるけど、「本当にそれがいいと思ってるの? 僕はそうは思えないよ」と言いたくなっちゃう。
清水 この話がつながるかどうかわからないですが、いまネットの世界で成功しているのって共産主義に縁のある人なんですよね。Yahoo!は中国人、Googleはロシア人じゃないですか。
高須賀 なるほどね
清水 だから共産主義的な考え方ができないとネットでは成功できないんじゃないかって思ってしまったり(笑い)。
高須賀 そうですかね(笑い)。


シェア思考とコモン思考


高須賀 それはともかく、アメリカ人と日本人って、情報共有の概念が違うんですよね。
清水 それは日本語で単純に共有という概念が「シェア(share)」と「コモン(common)」と2種類あるというお話ですか?
高須賀 そうそう。シェア、「各個人に分ける」という状態と、コモン、「ともに所有する」という状態のどちらが心地よいかという考えかたなんですが、前者が 民主主義的な思考の人で、後者が社会主義・共産主義的な思考の人なんだなあ、と。
清水 うんうん。
高須賀 それで、アメリカ人たちと話していると、ジェネレーションギャップを感じるのです。向こうでいうベビーブーマー世代の人たちはどちらかというと民主主義的な考え方なんですけど、いま20代ぐらいの若い人たちは共産主義的な考えを持っている。というのは、ベビーブーマーの人たちはオープンソースやソーシャル系のネットサービスなどをとても嫌うんですよね。でも、若いジェネレーションというのは、共産主義的でもいいモノなら何でも吸収しようとするから。
清水 ええ。
高須賀 日本人の若者は、どちらかというと西洋の民主的な、個人主義的なものを受け入れようとしているし、アメリカの若者は共産主義的な価値をどんどん受け入れようとしている気がするんです。ネットが、それぞれの文化が持つベネフィットを相互に認め合っている現象が起こっていると思うんです。
清水 そうですねぇ。確かに。

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