夏休みはアニメ漬け！　7月開始アニメ大特集 第2回

アダルトな雰囲気いっぱいの、ちょっと大人のアニメはいかが？

Toshi Yoroizukaのスイーツが映像で再現!?
「西洋骨董洋菓子店 ～アンティーク～」スイーツ・チーム・インタビュー

色彩設計担当の中尾さん、設定担当の甲藤さん、エフェクト担当の西山さん

──まず、お名前と何を担当されていらっしゃるか教えていただけますか？

【甲藤】　 ケーキの設定を描いている甲藤です。

【中尾】　 色彩設計など色に関することをやっている中尾です。

【西山】　 素材をもらって、撮影……いわゆるコンポジットですね。合成をやっている西山です。

【安野】　 ケーキの設定制作をしている安野です。

──本作品ではスイーツの絵の制作をされていらっしゃるということで、ほかのアイテムを作られるのと制作上の違いや手のかかっている部分などありますか？

【甲藤】　 私は設定っていうお仕事自体が初めてだったので、ちょっと手探り状態で始めたんです。絵を描くにあたって、映り込みだとか影だとかも描いてるんですけど、基本的にあまり1枚の絵に重ねていくっていうのはしない方向でということでした。

【安野】　 アニメーションの場合は動くので、レイヤーをあまり重ねてしまうと追いつけなかったり、ズレちゃったりして作業上の手間がかかるっていうのもありますよね。この作品を作るのにも3000枚ぐらいは使うので設定をつくる時にはあまり重ねないというのが基本です。

【甲藤】　 1枚1カット。1枚の絵でケーキを見せる場合は、アップと止めがある時には込み入った絵を描いていて、例えばケーキを持って運んだりする動きをつける時は、ロングバージョンというちょっと簡易的に直したものの2種類描いてます。 通常、設定っていうのは「こういう絵をください。」っていう注文を受けて、ラフで一度描いて、それを監督さんにチェックしてもらって、そこで受けた指示を描き直す。その上で色をつけてっていうものなんです。

【安野】　 順番的には線画が完成してから色彩設定に色をつけてもらう、っていうのが普通の設定で撮影処理するのはあまりないです。

【甲藤】　 今回の場合はケーキがちょっと特殊で、色をのせてみないとわからない部分が多いので、まずラフの段階で色をつけ、撮影もしてしまった形にしてチェックをした後、もう1回描き直して、また色をつけて撮影してっていう作業を何回もやったので、描き直す作業がちょっと大変ではありました。

【安野】　 普通は1周しかしない行程を何往復もして、最終的な設定に辿り着くという。 それが今回、全部で37個のケーキが出てくるので（笑）

【甲藤】　 1日、2日で描けるものではなくて、一つのケーキに1ヵ月とかかかるんですよ。

【安野】　 そうですね。何個も並行してやってもらってはいるんですけれど、たぶん一つのケーキができ上がるまでに1ヵ月ぐらいかかりますね（笑）

──実際のパティシエの方が作られているケーキが試作から店頭に並ぶまでと変わらない……もしかするとそれよりもかかっていることもあるんでしょうね。

【甲藤】　 この設定を見て、たくさんの作画さんが本編の絵を描くんです。 おかげでショーウィンドウに並んでいる実際のケーキを見ても色や形を考えてしまうようになりました（笑）

【中尾】　 さっき言われてたみたいに何回も往復する形になるので、細かく丁寧に仕上げるわけではないんですが、一旦ラフでもらったものを全体が見える形まで一応塗って、撮影まで入れてもらっています。 今回、作品全体の色調が淡いので、そこに食べ物を合わせてしまうと、美味しくは見えないんですよね。だからケーキだけは特別という形で、本編とは違う色味になるように考えました。 どうしても見た目は1枚絵という形になるので、それをどうやって立体感のある形にできるか、作画に手を入れていただいたり、撮影に手を入れていただいたりしています。 通常見ているスイーツと同じ色をつけられない部分もあるので、アニメーションとして見せる色のつけ方をしなければならなかったり。 本来であれば線画はブラックの線なのですが、食べ物なので、色トレスといって塗り色と近い色で線画処理しました。でも実はいくつもの色がスイーツの中に入っているので、仕上げ作業上は手間のかかる形になっています。手間はかかってもそれをやっておかないと1点もので見せるには難しいんですよね。

→ケーキの甘～い話は次ページへ続く！

（C)よしながふみ・新書館／西洋骨董洋菓子店製作委員会