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徹底解明! 世界に誇る潜水調査船【後編】

「しんかい6500」にとにかく乗ってみた!

2008年07月02日 13時47分更新

文● 丸子 かおり

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世界中の深海をまわるしんかい6500


 しんかい6500の耐圧殻を出たあと、総合指令室で櫻井さんと松本さんにお話をうかがった。まず、基本的なことだが、支援母船「よこすか」としんかい6500のミッションは大学や研究機関からの依頼を受けて出港するとのこと。これまで1000回以上の潜航を経たしんかい6500であるが、深海の生き物の調査から、地形の調査、高圧の中で地面から噴き出す熱水の研究など、多岐にわたる目的で潜航を行なっているそうだ。

深海で試料の採取を行なうしんかい6500(提供:JAMSTEC)

深海で試料の採取を行なうしんかい6500。撮影は無人探査機の「ハイパードルフィン」が行なっている(提供:JAMSTEC)

 また、日本周辺の海だけでなく太平洋や大西洋など世界中の海を回っている。研究者のオーダーによって、潜る場所が決められるのだとか。たとえば地震の研究のための地震断層を調査しに行ったり、また地殻内の動きにより新しい海底がつくられる場所である中央海嶺やプレートが沈み込んでいる海溝、海底火山なども調べていく。

熱水のある場所に近づいているところ

熱水のある場所に近づいているところ。熱水は300℃以上になる場合もあり、近づくには危険なときもある(提供:JAMSTEC)

 そしておもしろいのが、海嶺や海底火山などの付近にはよく熱水が噴き出している場所。噴き出す水の色によって「ホワイトスモーカー」とか「ブラックスモーカー」と呼ばれている。その熱水の温度は高圧の深海ということで、なんと300℃以上になるのだとか。しかしなんとこの熱水のそばには、特異な生態系があるそうだ。

煙突のように突き出した「チムニー」と呼ばれる地形。熱水噴出孔の周囲には特異な生態系が形成されている(提供:JAMSTEC)

煙突のように突き出した「チムニー」と呼ばれる地形。熱水噴出孔の周囲には特異な生態系が形成されている(提供:JAMSTEC)

 この熱水に群がる生き物たち、なんと地上や浅い海にすむ生物とはまったく違う生態をしているのだ!

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