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徹底解明! 世界に誇る潜水調査船【前編】

俺たちは見た!! 世界一の「しんかい6500」を赤裸々に

2008年06月26日 14時52分更新

文● 丸子 かおり

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よこすかの操舵室で驚愕する

 櫻井さんの案内で入った「よこすか」。まず操舵室に連れていっていただいた。操舵室のすぐ後ろにはしんかいの総指揮を行う総合指令室があり、そこでまず印象に残ったのが、音波を使った水中通話機。そう、電波は水中での減衰が激しく使えないため、音波を使って会話をするのだ。ただし水中で音波が1秒間に進む速度は約1500m。しんかい6500が最大深度6500mまで潜っているときには、話声は4秒以上の遅れでしんかい6500に届くことになる。つまり、しんかい6500から返事を送ったらまた4秒以上の遅れが出て、ひと会話で10秒ほどかかってしまうのだ! 「実は月面に行ったアポロの宇宙飛行士が地球と通信するのには2~3秒のタイムラグしかないんですよ」と櫻井さん。深海って交信だけ考えると月より遠い世界になるんですね。 

「よこすか」の操舵室。通常の航海ではこちらで操舵する

「よこすか」の操舵室。通常の航海ではこちらで操舵する

左にある通話器が、海中・海底にいるしんかい6500との通話器

左にある通話器が、海中・海底にいるしんかい6500との通話器

 また音波は通話だけでなく、しんかい6500の位置確認にも使われる。しんかい6500が周期的に出す音波を拾って、潜航中の位置は自動的にマジックで線を描く"X-Yプロッタ"と呼ばれる機械で海底図のどのあたりにいるのか書き出されるのだ。

X-Yプロッタで海底図に描かれたしんかい6500の航跡。色の濃くなっている場所は長時間止まって調査している場所だ

X-Yプロッタで海底図に描かれたしんかい6500の航跡。色の濃くなっている場所は長時間止まって調査している場所だ

「よこすか」の船内にある食堂。航海の間、クルーや研究者が集まって食事を摂る

「よこすか」の船内にある食堂。航海の間、クルーや研究者が集まって食事をとる

 また、驚きなのが「よこすか」に操舵室が2つあるということ。船を進めるためのシステムがなぜ、2つあるのか。それはしんかい6500の着水のため。普段は船の前方にある操舵室で舵を取るが、しんかい6500が着水するときには、後方の操舵室へ移って着水の様子を見ながら操舵しないといけないためなのである。普通の船舶とはちょっと違う操縦系統には驚いた。

 そしていよいよ、しんかい6500とご対面だ!!

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