このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業界研究レポート 第7回

ファーストフード業界・前編

森永卓郎氏に聞く―メガ食ブームと格差社会の関係

2008年06月25日 04時00分更新

文● 斉藤邦雄(大空出版)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

メガ食品がこれから迎える局面とは!?

 こうしたメガ食品ブームについて、ファストフード好きでも有名な経済アナリストの森永卓郎氏は、次のように分析する。

森永卓郎氏

森永 卓郎(経済アナリスト) 1957年生まれ        1980年 東京大学経済学部経済学科卒業。獨協大学経済学部教授。元三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部 部長兼主席研究員

「メガ食品ブームを消費者の立場から見ると、その背景には社会階層の二極化があると思います。いわゆる勝ち組層は、有機栽培低農薬の低カロリー食品を食べます。一方、負け組は健康面には関心が高くありません。しかも所得が低いので、むしろコストカロリー効率のよい食べ物を選ぶ傾向もあるでしょう。つまり、メガ食品は低所得層の拡大という社会構造変化を背景に登場していると言えます」

「また、供給面から言うとメガ食品は、いずれも既存メニューを量的に拡大しただけです。つまり、開発コストがかからないという大きなメリットがあります。また、外食産業の原価率は低いので、大きくしたからと言ってさほどコストを増大させることなく高価格で販売できるので、収益性を悪化させずに、お得感を打ち出せるということになります」

 マクドナルドがバリューセット半額などで価格破壊競争をリードした“デフレ時代”から約10年。同社は販売単価の高いメガ食品で“売上不振の時代”の牽引役となった。

 そして、度々の限定販売で成功を収めたメガマックは、レギュラーメニューの座を得るに至った。もはや、メガ食品は一過性のブームではなく定番として根を張ったのか。森永氏は言う。

「所得格差の拡大は続いており、これから低所得層が一層拡大することが考えられます。そうなると、むしろメガ食品はこれからが本番だと思います。現状、メガ食品で成功したと言えるのは、マクドナルドだけではないでしょうか。メガ食品は、量が多いだけに飽きられるのも早いので、目先を次々に変えていかざるを得ません」

「その点、通常の大きさの商品でもさまざまな目先の変化を仕かけている同社は有利なのだと思います。ただ、だいぶメニューを使ってしまった感があるので、これからは苦労するのではないかと思います」

(明日6月26日公開予定、後編に続く)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ