古いブラウザをどこまでサポートするか
ここまで、Web制作者が実際に経験的に確認した“次世代ブラウザで変わった点”をいくつか紹介してきた。もちろん取り上げたのはごく一部であり、Web制作者のコミュニティやブログなどでは現在もさまざまな最新情報が飛び交っている。
紹介した中には、Operaのフォントサイズの問題や、FirefoxのURL折り返しなど、制作者から見てもユーザーから見ても明らかに“改善”と受け取れるものもある。ただ、残念なことに、すべてのインターネットユーザーが常に最新のブラウザを使うわけではない。従来のバージョンとの表示の互換性を考えると、Web制作者の負担は決してすぐに軽くなるものではなさそうだ。
「多くのユーザーの方が、最新のブラウザ、それもなるべくWeb標準に準拠したものを使ってくれるようになるといいのですが」と漏らすAさん。「今のところ判明している問題については、解決策がほぼ見えてきていますが、まだこの後何が出てくるか分かりません。しばらくは様子を見ないと」。
HTMLやCSSだけではない意外な落とし穴
ブラウザのセキュリティ強化
本文で紹介したのは、ブラウザのレンダリングエンジン、つまり表示に関するものだったが、Web制作者というよりも運用担当者に関係する話として、Firefox 3で強化されたセキュリティに関する機能についても若干触れておきたい。
すでに、いわゆる”オレオレ証明書”(自己署名の証明書などの検証不可能な電子証明書)を使ったサイトへのアクセスについては、IE7でも右の画面のような警告を表示してブロックするようになったが、Firefox 3ではさらにきつい表現でこれを止めさせるようになっている。
Firefox 3で証明書に問題があるWebサイトへアクセスしようとすると、本来表示させたいページに代わって、「安全な接続ができませんでした」という警告ページが表示され、これにより先に進むには「例外」として登録しなければならない。この時点でかなり気が進まなくなるが、この先の「セキュリティ例外の追加」のウィンドウに表示される警告メッセージが強烈だ。
ご覧のように、「本物の銀行、ショップ、その他公共サイトがこの操作を求めることはありません。」とある。仮にオンラインサービスなどを利用しようとした際に、ここまで厳しい文言(それも太字)で警告されたら、大方のユーザーはこれ以上の操作をためらうのではないだろうか。いずれにせよ、ユーザーに対して大きな不安を与えるのは間違いない。
中には、意図せず“うっかりミス”で更新を怠ったために証明書が期限切れになっていたというケースもあると聞く。運用担当者の方は、自社のサイトは問題ないか、今一度確認してみてはどうだろうか。