円筒を短く切った「岡持ち風」デザインと、リビングの大画面テレビをディスプレーとして使う独特のコンセプトで、2007年1月に発表されて話題を呼んだ、ソニーの「テレビサイドPC TP1」。
しかし従来のTP1(関連記事1)には、「内蔵チューナーが地上アナログ放送用のみ」という弱点があった。TP1と同時に発表されたLAN対応デジタルチューナー「VGF-DT1」を使えば、デジタル放送の視聴も可能になるのだが、どうせ大画面テレビに接続できるのなら、TP1本体で完結してくれた方が使い勝手はいいし、なによりお財布にやさしい。
25日に発表された新製品「VGX-TP1DQ/B」(以下新TP1)は、待望の地上デジタル放送(以下地デジ)チューナーを内蔵しただけでなく、ハイエンドのBDレコーダーもしのぐ、優れたテレビ視聴録画機能を備えている。優れた地デジ対応パソコンに生まれ変わった新TP1の実力をご紹介したい。
AV機器ともマッチする黒いボディー
まずはボディー外観から。見てのとおり、ボディーカラーがつや有りブラックとなり、精悍な印象になった。天板は単なる黒ではなく、ややラメの入った目を引く塗装となっている。岡持ち型の円筒形状や光学ドライブ、メモリーカードスロットなどの配置は、既存のTP1と変わらない。サイズも同様だ。なお、今回紹介するTP1DQ/Bはブラックだが、同時に発表された下位モデル「VGX-TP1D」は、従来どおりのホワイトボディーとなっている。
ボディーの前面には記録型BDドライブ(BD-R/RE書き込み最大2倍速)と、スライドカバーに隠れたメモリーカードリーダーなどが配置されている。背面には地デジ用アンテナ端子やLAN端子、HDMI出力端子などが並び、これらはカバーで隠せるようになっている。
地デジに対応したことで、付属の赤外線リモコンはデータ放送用のボタンが加わり、従来よりもやや大きくなった。付属キーボードが電波によるワイヤレスキーボードであることを考えると、リモコンが赤外線式である必然性はなく、使い勝手の面では疑問が残る。どうせなら、同社の液晶テレビ「ブラビア」付属の「おき楽リモコン」(関連記事2)のような、電波式でボタンも大きい、使い勝手のよいものを採用してほしかった。
ブラビア側のリモコンでパソコンの起動やコンテンツの視聴操作を行なえる「ブラビアリンク」にも対応している。
スペックも充実 BD搭載で実売20万!
パソコンとしてのスペックは、2008年春モデルの最上位機種(VGX-TP1DTW)と比べて、大きくは変わっていない。CPU(Core 2 Duo T8100)やGPU(GeForce 8400M GT)、チップセットなどは共通である。HDD容量も500GBと同等だ。もちろん市販のBD映像ソフトの再生も可能。決してハイエンドではないが、Vista搭載パソコンとしての性能は十分だろう。
従来機種との決定的な違いは、地デジチューナーの内蔵にある(BS/110度CSデジタル放送には対応しない)。内蔵する地デジチューナーは、下の写真のように手のひらより小さい超小型チューナーを採用している。しかもこの小ささで、2チューナーを搭載して2番組同時録画が可能というのだから驚きだ(2番組同時視聴はできない)。
豊富な機能に対して、価格が安いことも大きな魅力だ。BD搭載の上位機種であるTP1DQ/Bは、予想実売価格が20万円前後。ソニーのハイエンドBDレコーダー「BDZ-X90」が、500GBのHDDを内蔵して店頭実売価格が20万円弱であるから、ハイエンドBDレコーダーと変わらない金額で、「ダブル録画可能なBDレコーダー+パソコン」を買えてしまうわけだ。これはかなりお買い得と言えよう。
ちなみに下位機種であるTP1Dは、“BD非搭載、HDD 320GB”という点以外、TP1DQ/Bと同等の仕様となっている。それでいて予想実売価格は15万円前後と、これまた安価になっている。
