TREND 「Silverlight」「Adobe AIR」――最新RIAは何を変えるのか ― 第回
「asahi.com」「GyaO」動画配信から動き出したSilverlight (3/3)
2008年06月20日 14時01分更新
「DRM」「Deep Zoom」――注目の新機能を搭載するSilverlight 2
……と、ここまでのところ「Silverlightって、あまりFlashと代わり映えしないんじゃ?」という印象は正直ぬぐえない。
本特集の冒頭でも書いたが、一般的にはRIAとは「Rich Internet Applications」のこと。ところが、マイクロソフトはこれをあえて「Rich “Interactive” Applications」と定義している。よりリッチに、よりインタラクティブに、ユーザーにとって楽しく簡単にリッチコンテンツを操作できる入り口としてSilverlightを普及させたいという考えがこの表現に見られる。
しかし、現行の正式版である「Silverlight 1.0」についてはあまり目を見張る機能は多くない。実際のところ、Silverlightがその実力を発揮することになるのは、現在「2β」が公開されている次期バージョン「Silverlight 2」だ(正式版のリリースは2008年第4四半期の予定)。
本来、「1.1」として公開される予定だったこのSilverlight 2は、さまざまな機能追加によってマイナーバージョンアップではなくメジャーバージョンアップになることとなった。中でも目玉は、Silverlightでも十分強力だったメディアプレーヤーとしての機能に「DRM(Digital Rights Management/デジタル著作権管理)」機能が搭載されることだ。これで、保存やコピーなどに制限を加えることができるようになる。
配信側にとっては、動画・音声コンテンツのネット流通に安心感が付加されることになる。これは大いに歓迎すべき点だろう。asahi.comやGyaOがSilverlightを採用した背景にも、次期バージョンでDRM機能が搭載されることを見越して、という部分が多分にあるはずだ。
また、Silverlight 2では、「Deep Zoom」と呼ばれる機能が追加される。巨大な画像を高速に拡大・縮小表示するもので、オンラインアルバムなどでの活用が予想される技術だ。
海外では早くもβ版におけるDeep Zoom機能を使った秀逸なコンテンツが登場している。それがこちら、「Hard Rock Cafe」のWebサイトにあるコンテンツだ。高精細な静止画表現に新たな可能性を感じていただけるのではないかと思う。なお、閲覧には、Silverlight 2(β)プラグインが必要なのでご注意いただきたい。
■Hard Rock Cafe「MEMORABILIA」
http://memorabilia.hardrock.com/
★
実際にSilverlightを採用しているWebコンテンツを交え、現行バージョンである「Silverlight 1.0」と次期バージョン「Silverlight 2」の概要について今回は解説した。では、マイクロソフトはこのSilverlightによって、ユーザーに何をもたらそうとしているのか。また、Web開発者にとっては何が変わるのか。次回はそのあたりに話を進めてみたい。
お詫びと訂正:本文中の誤字を修正しました。記事は訂正済みです(2008年6月20日)